[本文]

プログラム

10:00-10:05
開会挨拶
石田 亨(さきがけ「情報環境と人」領域研究総括、日本学術会議環境知能分科会、京都大学教授)
10:05-10:20
文部科学省挨拶
下間 康行 (文部科学省研究振興局 参事官(情報担当))
10:20-11:00
基調講演
「福祉工学が導く超高齢社会のパラダイムシフト」
伊福部 達 (東京大学名誉教授 (高齢社会総合研究機構))
11:10-12:00
招待講演
「ヘルスケアの革新」同時通訳付き
デイブ ブレークリィ (米国IDEO社 技術戦略リーダー・シニアディレクター)
12:00-13:00 昼食・休憩
13:00-13:40
研究発表 (1)
「デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究」 石黒 浩 (CREST研究代表者、大阪大学大学院基礎工学研究科 教授、国際電気通信基礎技術研究所 石黒浩特別研究室 室長)
13:40-14:00
研究発表 (2)
「健康長寿高齢者の会話に学ぶ認知活動支援」 大武 美保子 (さきがけ研究者、千葉大学大学院工学研究科 准教授)
14:00-14:20
研究発表 (3)
「ハンガー反射現象の痙性斜頚患者への医療応用」 梶本 裕之 (さきがけ研究者、電気通信大学 情報理工学部 准教授)
14:20-14:40
研究発表 (4)
「介護福祉施設における快眠支援: あなただけのライフスタイル設計に向けて」玉 圭樹 (さきがけ研究者、電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 教授)
14:40-15:20
展示概要紹介
体験型展示&ポスターの概要紹介
辻 俊明坊農 真弓荒牧 英治城戸 隆小林 貴訓鈴木 健嗣硯川 潤梶本 裕之玉 圭樹山崎 公俊大羽 成征大野 和則大武 美保子相澤 清晴石黒 浩伊藤 公人
15:20-16:50
体験展示デモンストレーション
〜日々の生活、診療、介護をサポートする情報技術の最前線〜
16:50-18:20
パネルセッション
テーマ:「ヘルス&ウェルネスを拓くためのブレークスルーは なに?」
「五感情報技術の未来」廣瀬 通孝 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授)
「『知の創生』を越えて」(知の創生と情報処理技術) 中島 秀之 (公立はこだて未来大学 学長、さきがけ「知の創生と情報社会」領域研究総括)
「『ユビキタスネットワークロボット』を越えて」 徳田 英幸 (慶應義塾大学環境情報学部教授兼大学院政策・メディア研究科委員長)
モデレータ:石田 亨 (さきがけ「情報環境と人」領域研究総括、日本学術会議環境知能分科会、京都大学教授)
18:20-18:30
総評・閉会挨拶
東倉 洋一 (CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」領域研究総括、国立情報学研究所名誉教授)

※ プログラムの各タイトル等詳細は、今後変更もあり得ます。

講演者

基調講演
伊福部  達
「福祉工学が導く超高齢社会のパラダイムシフト」(←資料リンク)
伊福部 達 (イフクベ トオル)
  • 東京大学 名誉教授 (高齢社会総合研究機構)
【講演概要】筆者は福祉工学という分野を歩き続けて40数年になるが、この間に、日本人の価値観は大きく変わり、また、多様化していることを強く感じる。とくに、超高齢社会に向けて「やりがい」や「快適な生活」に価値を置く人たちが増えており、それを支援する一つとして福祉工学に熱い視線が向けられている。ここでは、まず、筆者が取り組んできた感覚・コミュニケーション機能の謎解き研究と、それに基づく支援技術の開発研究について述べ、現在、JST・S-イノベの総括代表として進めているプロジェクト「高齢社会を豊かにする科学・技術・システムの創成」を紹介したい。その上で、福祉工学が高齢者の社会参加やQOL(生活の質)の向上に貢献するとともに新しい産業を生み出す可能性について触れ、超高齢社会のパラダイムシフトを導く一つの原動力となることを展望したい。
【略歴】1971年北海道大学大学院修士課程(電子工学)修了。同年北大・応用電気研究所・助手、米国スタンフォード大学・客員助教授、1989年北大・電子科学研究所・教授、2002年東京大学先端科学技術研究センター・教授、北大名誉教授、東大名誉教授。工学博士。電子情報通信学会フェロー、VR学会フェロー、中山賞大賞(工学の医療福祉応用)、音の匠(緊急地震速報チャイム音作成、オーディオ協会) 主な著書に「音の福祉工学」(コロナ社)、「福祉工学の挑戦」(中公新書)、「ゴジラ音楽と緊急地震速報」(ヤマハMM)、「福祉工学の夢」(ミネルヴァ書房、印刷中)。現在、東大・高齢社会総合研究機構に所属し、JST S-イノベ「高齢社会を豊かにする科学・技術・システムの創成」のP.O.を務めている。
招待講演
Dave Blakely
「Innovation in Healthcare」(←資料リンク)
Dave Blakely (デイブ ブレークリィ)
  • 米国IDEO社 技術戦略リーダー・シニアディレクター
【講演概要】イノベーションや創造性は生まれつきの才能ではなく、習得できる技術である。本講演では、イノベーションの方法論である「デザインシンキング」をヘルスケア分野の現在の課題にどのように適用するかを実践的に説明する。いかなるイノベーションにおいても、その課題の中心は、技術、ビジネスや政策、および人間工学のバックグラウンドを持つメンバーから構成される、異分野連携のチームを注意深く選ぶことである。チームは、共感を持って行う人間についての調査により創造性を飛躍させ、統合的なセッションを行うことにより、チームの洞察は引き出されて行く。また、ブレインストーミングのような技術はチームの創造性を導き、プロトタイプの作製により、イノベーションを進めて可視化をしやすくし、リスクを軽減することができる。
【略歴】UC バークレーで、物理工学の学士および機械工学の修士号を取得。新規技術が顧客のニーズと結びついて生まれるビジネスチャンスの探索を行う、米国IDEO社で技術戦略を統括している。Palo Altoオフィスのシニアディレクターとして、シリコンバレーの幹部からNASAの高官まで、技術に焦点を当てた組織の幹部へのアドバイスを多数行ってきた。また、大学や企業でのワークショップ開催や、UCバークレーの工学部をはじめとするいくつかの大学などでの諮問委員なども務めている。
パネルセッションの概要

パネルセッションでは、ヘルス&ウェルネスに適用可能な情報技術の研究で活躍されているパネリストからのメッセージにより、現状を把握し課題を浮き彫りにしていきます。そして、我が国が求める健康長寿社会のデザインに向けて、情報学が目指すべき方向を参加者の皆さまとともに討論していきます。

パネリスト
廣瀬  通孝
「五感情報技術の未来」
廣瀬 通孝 (ヒロセ ミチタカ)
  • 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授
【講演概要】「五感情報」というキーワードが取りざたされるようになったのが、10年以上前のことである。この分野はまだまだ未成就ではあるものの、着実に研究の成果が積み重ねられている。 とりわけ最近注目されているのが、五感相互作用を利用した技術であり、工学と心理学の境界領域に存在する新しい情報インタフェースの体系が構築されつつある。この体系が大きく飛躍できるかは、技術が扱うことを避けてきた「主観」にどう切り込むかにかかっている。パネルでは、この魅力的技術の将来についてヘルス&ウェルネスの観点も含めて考えてみたい。
【略歴】1982年東京大学大学院博士課程修了 (工学博士) 。同年東京大学工学部産業機械工学科専任講師、助教授、大学院工学系研究科機械情報工学専攻教授、先端科学技術研究センター教授を経、2006年同大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻教授、現在に至る。主にシステム工学、ヒューマンインタフェース、バーチャルリアリティの研究に従事。1996年、日本バーチャルリアリティ学会を設立に貢献、会長を務めたのち現在特別顧問。東京テクノフォーラムゴールドメダル賞、電気通信普及財団賞などを授賞。日本学術会議連携会員。主な著書は、技術はどこまで人間に近づくか (PHP研究所) 、バーチャル・リアリティー (産業図書) 、電脳都市の誕生 (PHP研究所) など。趣味は鉄道模型とマンガ。
中島  秀之
「『知の創生』を越えて」 (知の創生と情報処理技術)
中島 秀之 (ナカシマ ヒデユキ)
  • さきがけ「知の創生と情報社会」領域研究総括
  • 日本学術会議環境知能分科会
  • 公立はこだて未来大学 学長
【講演概要】情報技術でどのように、そしてどこまで社会を良くできるのか?皆が安全安心便利に暮らせる社会を実現するための「知の創生と情報処理技術」の現状と未来について考えてみたい。
【略歴】1983年、東大情報工学専門課程修了 (工学博士) 。同年、電総研入所。2001年より産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年より公立はこだて未来大学学長。認知科学会元会長、ソフトウェア科学会元理事、人工知能学会元理事・フェロー、情報処理学会編集委員長・元副会長・フェロー。マルチエージェントシステム国際財団元理事、日本工学アカデミー会員、電子情報通信学会会員、日本学術会議連携会員。未踏ソフトウェア元PM、さきがけ領域研究総括。
徳田  英幸
「『ユビキタスネットワークロボット』を越えて」
徳田 英幸 (トクダ ヒデユキ)
  • 慶應義塾大学環境情報学部教授兼大学院政策・メディア研究科委員長
【講演概要】日本発でスタートしたユビキタスネットワークロボット(UNR)の研究開発は、10年を迎える。UNRは、人々のリアルな生活空間といったオープンでかつ複雑な環境下で安全に動作し,人々の生活支援を実現していかなければならないといった重要な使命がある.UNR 技術がいろいろな応用分野に受け入れられるには,リアルワールドコンテキストにおいてUNR技術 をどのような形に変容(シェーピング)させていくかといった課題とともに,さまざまな社会制度や規制の改革といったソーシャルイノベーションを同時に進めていくことが重要な課題である.パネルでは、テクノロジー・シェーピングとソーシャルイノベーションの重要性について述べる。
【略歴】1975年慶應義塾大学工学部卒、同大学院工学研究科修士、ウォータールー大学計算機科学科博士課程修了。 同大学准教授を経て、慶應義塾大学環境情報学部、常任理事、大学院政策・メディア研究科委員長、環境情報学部長を経て、現職。主な研究分野は、オペレーティングシステム、分散システム、ユビキタスコンピューティングシステムなど。現在、日本学術会議連携会員、情報通信審議会会長代理、 情報処理学会フェロー、日本ソフトウェア学会フェロー、ネットワークロボットフォーラム会長、ASP・SaaS・クラウド普及促進協議会会長、モバイル社会研究所理事などを務める。
開会挨拶・モデレータ
石田  亨
石田 亨 (イシダ トオル)
  • さきがけ「情報環境と人」領域研究総括
  • 日本学術会議環境知能分科会
  • 京都大学 教授
【略歴】1978年、京都大学工学研究科修士課程修了。同年、日本電信電話公社 (現NTT)入社。1993年より京都大学教授。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE各フェロー。日本学術会議会員。さきがけ領域研究総括。人工知能、特にマルチエージェントシステムを研究。デジタルシティ、言語グリッドなど情報技術と社会をつなぐ研究プロジェクトを推進。
閉会挨拶
東倉洋一
東倉 洋一 (トウクラ ヨウイチ)
  • CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」領域研究総括
  • 国立情報学研究所 名誉教授
【略歴】1972年、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、日本電信電話公社(現NTT)入社。武蔵野電気通信研究所、(株)ATR人間情報通信研究所社長、NTT先端技術総合研究所所長などを経て2003年、国立情報学研究所教授。工学博士。専門は人間情報学、音声情報処理。特に情報通信技術と人間・社会学との今後のかかわりに興味を持つ。
研究発表
「デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究」(←資料リンク)
石黒 浩 (イシグロ ヒロシ)
  • 大阪大学大学院基礎工学研究科 教授
  • 国際電気通信基礎技術研究所 石黒浩特別研究室 室長
【講演概要】テレノイドが特に高齢者や子供に対して非常に効果的であることが分かってきた。現在、福祉先進国であるデンマークと協力しながらテレノイドを用いた高齢者のコミュニケーション支援に取り組んでいる。
【略歴】1991年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。その後、山梨大学、大阪大学、京都大学、カリフォルニア大学、京都大学、和歌山大学を渡り歩く。1999年よりATR知能映像研究所客員研究員。2002年より大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授およびATR 知能ロボティクス研究所客員室長。現在、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授(特別教授)およびATR石黒浩特別研究室室長(ATRフェロー)。工学博士。知能ロボット、アンドロイドロボット、センサネットワークの研究に興味を持つ。CREST「人間と調和する情報環境を実現する基盤技術の創出」研究代表者。
「健康長寿高齢者の会話に学ぶ認知活動支援」(←資料リンク)
大武 美保子 (オオタケ ミホコ)
  • 千葉大学大学院工学研究科 准教授
【講演概要】自分の体験に基づいて、考えたり感じたりしたことを語り合い聞き合う、双方向の活発な会話は、加齢と共に低下しやすい認知機能を活用することができ、機能維持につながることが期待されます。そのような会話を確実に発生するよう考案した会話支援手法、共想法と、これを病院、介護、福祉施設で実施し、得られた知見を紹介します。そして、日々活発な会話を楽しみながら元気に暮らしている、平均年齢94歳のぎんさんの娘姉妹の会話データに基づいて開発中の、認知活動支援ロボットのデモンストレーションを行います。
【略歴】千葉大学大学院工学研究科准教授。認知症の祖母との会話をヒントに、写真を見てほのぼの会話をする共想法を考案。2007年、研究拠点ほのぼの研究所を設立し、翌年NPO法人化、代表理事に就任。2010年より、さきがけ「大規模会話データに基づく個別適合型認知活動支援」研究者。2003年、東京大学大学院工学研究科修了、博士 (工学) 。主著は、介護に役立つ共想法 (中央法規出版、2012) 、Electroactive Polymer Gel Robots(Springer-Verlag, 2009)。さきがけ「知の創生と情報社会」研究者。
「ハンガー反射現象の痙性斜頚患者への医療応用」(←資料リンク)
梶本 裕之 (カジモト ヒロユキ)
  • 電気通信大学 情報理工学部 准教授
【講演概要】ハンガー反射は針金製ハンガーを頭にはめると首が勝手に回ってしまう不思議現象として知られている。この現象の生起条件を明らかにするとともに、ハンガー反射と同様の頭部姿勢に関する疾患として知られる痙性斜頸 (頸部ジストニア) への応用を行った。従来用いられてきたボツリヌス毒注射や脳深部刺激等の手法に比べて患者負担の少ない手法として,現在複数の医療機関による医療治験に入っている。本発表では以上の成果を紹介すると共に,従来巨大なシステムを必要とした運動感覚呈示一般に本知見を応用していく道筋について議論する。
【略歴】1998年東京大学工学部計数工学科卒業。2004年東京大学大学院情報理工学研究科システム情報学専攻 博士号 (情報理工学)取得。2003年東京大学助手,2006年電気通信大学助教授を経て2007年より電気通信大学准教授。触覚ディスプレイ、触覚センサ、バーチャルリアリティシステムなどの研究開発に従事。外界情報を人の運動・情動につなげるインタフェース研究に主な興味を持つ。さきがけ「情報環境と人」研究者。
「介護福祉施設における快眠支援: あなただけのライフスタイル設計に向けて」(←資料リンク)
玉 圭樹 (タカダマ ケイキ)
  • 電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 教授
【講演概要】本講演では、超高齢者社会における高齢者の介護支援に焦点をあて、さきがけのプロジェクトの成果を紹介するとともに、次世代介護支援のあるべき姿について議論する。 具体的には、高齢者の方が快適で健康的な生活を送るために「睡眠」に着目し、 (1) 無拘束で(何もデバイスを体に取り付けずに)各人の特性を考慮した睡眠段階の推定を可能にするとともに、 (2) 深い睡眠を導くケアプラン(1日のスケジュールに相当)の生成に成功したことを紹介する。
【略歴】1998年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。同年、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)入所。2002年東京工業大学大学院総合理工学研究科講師を経て、2006年電気通信大学電気通信学部助教授、2007年准教授、2011年教授、現在に至る。マルチエージェントシステム、 強化学習、進化計算をはじめ、最近では介護・睡眠に関する研究に従事。著書に「マルチエージェント学習 -相互作用の謎に迫る-」など。さきがけ「情報環境と人」研究者。

体験展示・ポスター発表

グループ1 診療を支援するICT
「食の情報処理:食事ログ(FoodLog), ダイエットVR」(←資料リンク)
相澤 清晴 (アイザワ キヨハル)
  • 東京大学大学院情報学環 教授
【概要】食に関するライフログ共有技術基盤と題したプロジェクトを進めており、そのプロジェクトの研究開発で得られてきた成果、デモを展示する。
  • 1. FoodLogの技術展開
  • 2. FoodLogの社会実装:Web版、スマートフォン版
  • 3. 健康基盤にむけた実証実験
  • 4. ダイエットVR
【略歴】1983年、東大電子工学科卒業。1988年同大学院博士課程修了。工博。東大工学部助手、講師、助教授をへて、2001年より 同教授。現在、同大情報学環・情報理工学系研究科 教授。 2002年日本IBM 科学賞。IEICE フェロー。画像・メディア処理に関する研究に従事。ライフログの研究をその黎明期から主導し、現在、食事に焦点をあてたFoodLog を展開している。CREST「人間と調和する情報環境を実現する基盤技術の創出」研究代表者。
「インフォマティクスによる診断マーカー探索」(←資料リンク)
大羽 成征 (オオバ シゲユキ)
  • 京都大学 大学院情報学研究科 講師
【概要】医者が臨床診断の手がかりとして用いるバイオマーカーの探索は、近年の網羅的計測技術の発展によって情報学研究の精髄を必要とする新たなステージに入りはじめた。網羅的計測技術は数百から数億という超高次元の特徴で対象を計測するが、たいていその中で真に意味ある特徴は少数であるし、真に意味があるのは個々特徴ではなくそれらの組み合わせである場合も多い。展示では、可能性の組み合わせ爆発のなかから、ひとつ・もしくは少数のマーカーを見つけ出し、その信頼性を保証するための機械学習と超多重検定の方法に関する研究を紹介する。
【略歴】京都大学理学研究科(地球惑星科学専攻)と奈良先端大情報学研究科の修士号取得後、2002年奈良先端大情報学研究科博士(工学)取得。その後、奈良先端大短期ポスドク、助教を経て、2008年から現職京大情報学研究科講師・JSTさきがけ研究者兼任。数百〜数万の対象が互いに関連を持って動く超高次元システムの同定・制御と、統計的仮説検定=超多重検定に興味を持っている。これまで遺伝子発現解析、神経科学系研究における種々信号処理を主な研究対象としてきたが、今後とも次元の高い問題であれば何にでも首を突っ込んでゆく所存。さきがけ「知の創生と情報社会」研究者。
「ハンガー反射現象の痙性斜頚患者への医療応用」
梶本 裕之 (カジモト ヒロユキ)
  • 電気通信大学 情報理工学部 准教授
【概要】「研究発表」の項を参照。
【略歴】「研究発表」の項を参照。
「自然言語処理による診断支援技術の開発」(←資料リンク)
荒牧 英治 (アラマキ エイジ)
  • 京都大学 学際融合教育研究推進センター リーディング大学院 デザイン学 特定准教授
【概要】近年、医療のIT化が進み、かつてない大量の臨床データが電子化された状態でストックされつつあります。本発表では電子カルテ文章や患者記述文章などを情報処理するための言語処理システムを展示します。
【略歴】2000年京都大学総合人間学部卒業。 2002年京都大学大学院情報学研究科修士課程修了。 2005年東京大学大学院情報理工系研究科博士課程修了 (情報理工学博士) 。以降,東京大学医学部附属病院企画情報運営部特任助教、 東京大学知の構造化センター特任講師を経て、現在,京都大学デザイン学ユニット特定准教授、 科学技術振興機構さきがけ研究者 (兼任) 。自然言語処理の医学的応用に関する研究に従事。さきがけ「情報環境と人」研究者。
「人に気づきを与えるパーソナルゲノム情報環境」(←資料リンク)
城戸 隆 (キド タカシ)
  • (株)理研ジェネシス バイオインフォマティクス部 マネージャー
【概要】遺伝子解析技術の画期的な進歩により、かつて数千億円かかった人の全遺伝子配列解読が、10万円程度で解読できる時代が近づいています。本研究では個人のゲノム情報とレイティングシステム(QS system) によって蓄積されたパーソナルデータとの関連性をもとに、より信頼性の高い遺伝子リスクを予測するための計算モデルを構築したり、遺伝子の知識が人に与える影響を評価する取り組みを進めています。病気のリスクや個性を予測したり、病気の原因解明、新らたな科学発見を目指す研究開発です。本展示では、私自身の遺伝子解析から得られた気づきや発見、現在進行中のコミュニティコンピューティングによる科学発見(Citizen Science)の取り組み、現在開発中のパーソナルゲノム情報環境「MyFinder」を紹介します。
【略歴】1996年慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻にて遺伝的アルゴリズムを用いたハイブリッド探索に関する研究で博士号取得。1997年からNTT情報通信研究所知的エージェントグループ、1998~2001年マレーシアのマルチメディアスーパーコリドー計画のもとでNTT海外R&D拠点立上げのために赴任。2002~06年遺伝子解析のベンチャー企業であるHuBit Genomix社にて疾患関連解析の研究開発に従事。2006年~2009年、スタンフォード大学Genetics DepartmentのStanford Microarray Databasegroupにて客員研究員。2009年より理研ジェネシス社にて研究開発に従事し、2010年よりJSTさきがけの大挑戦型プロジェクトとしてパーソナルゲノムに関する研究を進めている。
「インフルエンザウイルスの変異を予測する」(←資料リンク)
伊藤 公人 (イトウ キミヒト)
  • 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター准教授
【概要】毎年世界中で季節性インフルエンザが流行し、高熱、急性肺炎等の重篤な疾病を引き起こしている。インフルエンザの予防にはワクチン接種が有効であるが、人の免疫圧による選択淘汰を受け、ウイルスの抗原性が変化し続けるため、流行しているウイルスに合わせてワクチン株を更新しなければならない。本発表では、バイオインフォマティクスによりウイルスの変異を予測し、ワクチン株選定に活用するための研究事例を概説する。
【略歴】1992年北海道大学工学部電気工学科卒業。1994年北海道大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。1999年北海道大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了。1999年7 月より北海道大学大学院工学研究科講師(中核的研究機関研究員)。2002年4月より北海道大学大学院工学研究科リサーチアソシエイト。2004年4月より北海道大学大学院情報科学研究科助手。2005年5月より北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター国際疫学部門助教授(2007年4月より准教授)。2008年4月より、北海道大学数学連携研究センター准教授兼務。2008年4月より、北海道大学環境ナノ・バイオ工学研究センター准教授兼務。2009年4月より2010年3月まで、京都大学化学研究所 バイオインフォマティクス研究センター客員准教授。2009年10月より2013年3月まで、さきがけ「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」領域研究者。2011年1月より、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオインフォマティクス部門准教授。2012年1月より、マヒドン大学公衆衛生学部・非常勤講師兼務。
グループ2 生活と心を支援するICT
「対話に安心感をもたらす人間型情報メディア」
石黒 浩 (イシグロ ヒロシ)
  • 大阪大学大学院基礎工学研究科 教授
  • 国際電気通信基礎技術研究所 石黒浩特別研究室 室長
【概要】本グループでは人の存在を効果的に伝えうるデザインを採用した遠隔操作型アンドロイドの研究開発を行っている。人間のミニマルデザインと呼ぶ、人間にしか見えないが、年齢や性別がわからない見かけが、人の想像力を最大限に引き出し、人と豊かに関われるメディアを実現する。これまでの試行から、テレノイドが特に高齢者や子供に対して非常に効果的であることが分かってきた。そこで現在は福祉先進国であるデンマークと協力しながらテレノイドを用いた高齢者のコミュニケーション支援に取り組んでいる。本展示ではテレノイドを用いた遠隔対話を体験して頂く。
【略歴】「研究発表」の項を参照。
「すべての人に伝わること:遠隔コミュニケーション下でのろう者と聴者のよりよいコミュニケーション環境の構築」(←資料リンク)
坊農 真弓 (ボウノウ マユミ)
  • 国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 助教
【概要】情報機器の発展はろう者の生活に大きな変化をもたらしてきました。例えばポケベルや携帯メールは外出先での連絡を可能にし、自宅でFAX を待つ従来の生活を一変させました。今後は映像通信技術の発展に伴い、手話を用いた映像による社会参画の機会が増えると予想されます。本研究では、遠隔地にいるろう者と聴者が対等に議論可能な場として、映像通信技術を用いた調和的情報保障環境の構築とそのガイドライン作成を目指します。本発表では、インタラクション分析に基づいて、遠隔コミュニケーション場面の身体性について議論します。
【略歴】2005年3月神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程修了。博士(学術)。ATRメディア情報科学研究所研究員、京都大学大学院情報学研究科西田・角研究室研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)、UCLA言語インタラクション文化研究センター(CLIC)客員ポスドク研究員、テキサス大学オースティン校文化人類学部客員研究員を経て、2009年より現職。現在は人と人とのインタラクションや手話会話分析の研究に従事。プライベートではもっぱら育児に奮闘中。著書:『多人数インタラクションの分析手法』(オーム社、2009)等。受賞:徳川宗賢賞萌芽賞(2006年、2012年)等。さきがけ「情報環境と人」研究者。
「レスキューロボドッグ:情報による人と動物の協調探査の高度化」(←資料リンク)
大野 和則 (オオノ カズノリ)
  • 東北大学未来科学技術共同研究センター 准教授
【概要】瓦礫を素早く移動し、瓦礫に埋もれた被災者を発見する災害救助犬が育成されている。救助犬は鋭敏な嗅覚を用いて被災者を発見し、吠えて居場所を知らせることができる。しかし、探査の記録は人の記憶や言葉に頼っているため、複数の人の臭いが近くにあった場合や、嫌いな臭いが混ざっている時に被災者を見つけても吠えないことがある。レスキューロボドッグでは、レスキューロボットの記録と予測の技術を用いてこれらの問題の解決をめざしている。
【略歴】レスキューロボット、3次元計測の研究に従事。2004年に筑波大学大学院工学研究科卒業 博士(工学)、2004年に神戸大学COE研究員、2005年に東北大学工学研究科助手、2008年に東北大学情報科学研究科講師、2008年からさきがけ「知の創生と情報社会」研究者。2011年より東北大学 未来科学技術共同研究センター 准教授。2008年 競基弘賞学術業績賞受賞、2012年 競基弘賞特別賞(Quince開発チームに対して)受賞、データ工学ロボティクス研究専門員会委員長、RSJやIEEE会員。
「布製品に関わる生活支援のためのセンサ情報処理とロボティクス応用」(←資料リンク)
山崎 公俊 (ヤマザキ キミトシ)
  • 信州大学 工学部 助教
【概要】私たちは普段の生活で様々な布製品を利用している。布製品を畳む・着せるといった作業の自動化を考えるならば、まずはそれらの存在位置・種類・形状状態などに関する認識能力を自動機械に与える必要がある。
この実現方法には様々なものがあるが、本研究では
  • (1)布製品に関する多種多様なセンサデータを事前に取得しておき、認識等に利用する、
  • (2)作業目的にあったセンサデータの加工(特徴量表現)法を探す、
といった方針を採っている。本発表では、これまでに提案した手法とそれらのロボティクス応用について紹介する。
【略歴】2007年筑波大学大学院システム情報工学研究科修了。博士(工学)。 2006年日本学術振興会特別研究員。 2007年より東京大学特任助教、 2012年より特任講師。 同年、信州大学工学部助教となり現在に至る。知能ロボットの視覚と動作計画、蓄積データからの知識抽出に興味を持つ。さきがけ「知の創生と情報社会」研究者、自律型ロボットによる布製品の認識と操作に関する研究を行っている。
「健康長寿高齢者の会話に学ぶ認知活動支援」
大武 美保子 (オオタケ ミホコ)
  • 千葉大学大学院工学研究科 准教授
【概要】「研究発表」の項を参照。
【略歴】「研究発表」の項を参照。
「ソーシャル・プレイウェアによる社会性形成支援技術」(←資料リンク)
鈴木 健嗣 (スズキ ケンジ)
  • 筑波大学 システム情報系 准教授
【概要】装着型インタフェースを用いて実世界における人々の身体接触や空間移動、および表情表出といった社会行動の計測と情報提示を通じ、遊びや社会的交流の体験を支援・拡張する情報物理環境を提供する装着型デバイス群 (ソーシャル・プレイウェア) を紹介します。また、これらによる生体拡張技術や情動計測を応用し、広汎性発達障がい児を対象とした実証実験を通じて社会性形成支援への試み、介護や医療の現場における応用、また子供たちが笑顔により豊かな社会性を築くための取り組みについてもあわせて紹介します。
【略歴】1997年早稲田大学理工学部物理学科卒。2000年日本学術振興会特別研究員、2003年同大学大学院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了。博士(工学)。 早稲田大学理工学部助手、筑波大学講師を経て、2012年筑波大学准教授。現在に至る。2011年よりJSTさきがけ研究者。1998年伊ジェノヴァ大学 (音楽情報学) 、2009年仏カレッジ・ド・フランス (知覚・運動生理学) 客員研究員。人間情報学、ロボティクス、HCI/HRI、生体医工学などの研究を通して、人支援技術や生体拡張技術などの応用に興味を持つ。さきがけ「情報環境と人」研究者。
グループ3 介護を支援するICT
「ライフログを用いた福祉機器の臨床評価支援手法の開発」(←資料リンク)
硯川 潤 (スズリカワ ジュン)
  • 国立障害者リハビリテーションセンター (研究所) 福祉機器開発部 研究員
【概要】福祉機器の臨床評価には、医療機器と異なり確立された手法やプロセスが未だ存在しない。障害者・高齢者の多様な生活環境において機器を試用し、有用性を示すエビデンスを得ることは容易ではなく、福祉機器開発における大きなボトルネックの一つとなっている。この問題を解決するために、スマートフォンベースのライフログシステムを用いて臨床評価を実施し、実生活環境から定量的な評価情報を収集する手法を提案・開発している。様々な機器に適用できる汎用性を重視し、手間と時間がかかったこれまでの臨床評価の効率を飛躍的に向上させることを目指している。
【略歴】2004年東京大学工学部産業機械工学科卒業。2009年同大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻修了。博士 (情報理工学) 取得。東京大学先端科学技術研究センター特別研究員を経て、2009年10月より国立障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発部研究員。2011年バリアフリーシステム開発財団奨励賞受賞、福祉工学、リハビリテーション工学、神経工学などの研究に従事。福祉機器の開発・評価を支援するための方法論構築に重点を置いている。自身も電動車椅子ユーザである。さきがけ「情報環境と人」研究者。
「リハビリ支援機器と情報環境を繋ぐ力覚信号処理」(←資料リンク)
辻 俊明 (ツジ トシアキ)
  • 埼玉大学工学部電気電子システム工学科 准教授
【概要】画像や音声の信号処理技術が飛躍的な発展を遂げているのに比して力覚の信号処理技術には未開拓の領域が多く残っている。そこで本展示では力覚信号を情報環境に取り込み、利活用することを想定した力覚信号処理技術とそのリハビリ支援ロボットへの応用例を示す。まず、力覚センサの情報に特殊な処理を施すことにより、筋力の推定、命令認識、個人認証などが可能になる。また、力覚信号処理技術をリハビリ支援ロボットに実装し、利活用することで、訓練の内容が高度化されうる。その例を実機で示す。
【略歴】2006年3月慶應義塾大学理工学研究科総合デザイン工学専攻後期博士課程修了。同年4月東京理科大学工学部第一部機械工学科助手。現在,埼玉大学工学部電気電子システム工学科准教授。博士 (工学)。主としてロボット工学に従事。ロボットは人を力学的に支援するツールであるという観点から、力覚センシングがロボット工学の要になると考え、研究を展開している。現在、リハビリ支援ロボットが取得した力覚情報をデータベース化し、その有効利用により新たなサービスを創出する取り組みを進めている。さきがけ「情報環境と人」研究者。
「介護福祉施設における快眠支援: あなただけのライフスタイル設計に向けて」
玉 圭樹 (タカダマ ケイキ)
  • 電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 教授
【概要】「研究発表」の項を参照。
【略歴】「研究発表」の項を参照。
「同行者に自動追従できる車椅子型移動ロボットシステム」(←資料リンク)
小林 貴訓 (コバヤシ ヨシノリ)
  • 埼玉大学 大学院 理工学研究科 助教
【概要】車椅子利用者と介護者の会話は重要ですが、介護現場では、人手不足から一人の介護者が複数の車椅子を無理な姿勢で移動させている状況があります。本研究では、会話しながら移動する際の人の振る舞いや位置関係とコミュニケーションの関係性を分析し、健常者が楽しく会話しながら歩くのと同じように、同行者に自動追従できる車椅子型移動ロボットを開発しています。展示では実際に開発中の車椅子を皆様に体験頂きます。
【略歴】2000年電気通信大学大学院情報システム学研究科修士課程修了。2000〜2004年三菱電機 (株) 設計システム技術センターにて、ソフトウェア生産技術の開発に従事。2007年東京大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士 (情報理工学) 。人間の行動計測とそのインタラクションへの応用に興味を持ち、コンピュータビジョン、ヒューマン・ロボット・インタラクションに関する研究に従事。さきがけ「情報環境と人」研究者。