領域紹介・研究総括

研究総括 細野秀雄(東京工業大学 フロンティア研究センター/応用セラミックス研究所 教授) 研究総括 : 細野 秀雄
東京工業大学 応用セラミックス研究所/フロンティア研究機構 教授
元素戦略研究センター センター長


研究領域の概要

物質の機能は、それを構成する元素と不可分な関係にあることが知られています。しかし、元素の数は100あまりに過ぎず、そのうち実際に材料に使えるものは、資源や毒性などの制約のために、数が限定されてきています。よって、社会を支え要求に応える材料を産み出すためには、これまでの各元素に対するイメージを刷新し、新しい可能性を切り開く成果が研究者に求められています。物質・材料分野の飛躍的進展には、ナノ領域の科学と技術の開拓が不可欠であるとの共通の認識から、世界各国でその研究が重点的に行われてきています。

これからは、その基盤の上に各国の特質を反映した施策が実行される時期です。「元素戦略」は、天然資源に乏しい我が国が世界に先駆けて開始した研究施策のひとつで、これまで希少な元素を駆使して実現してきた有用な機能を、できるだけありふれた元素群から知恵を絞って実現しようというものです。これは学術的には、持続可能な社会のための新しい物質科学を確立することを意味します。

本研究領域は、資源、環境、エネルギー問題などを解決するグリーン・イノベーションに資するべく、クラーク数上位の元素を駆使して、ナノ構造や界面・表面、欠陥などの制御と活用による革新的な機能物質や材料の創成と計算科学や先端計測に立脚した新しい物質・材料科学の確立を目指します。