分子科学研究所生命・錯体分子科学研究領域の古谷祐詞准教授が、平成24年度の分子科学研究奨励森野基金を受賞されました。
本基金は、故森野米三東京大学名誉教授の拠出により、将来性のある分子科学の研究者の発展を願って設立されたもので、昭和60年以来数多くの研究者に助成金を交付してきました。
今回の古谷准教授の受賞は、「赤外分光法による膜タンパク質の情報伝達・エネルギー変換およびタンパク質機能を模倣した特異的ナノ反応場の分子機構研究」に対するもので、これまで古谷准教授が赤外分光法を基軸に進めてきたロドプシンなどの膜タンパク質や様々な分子系に対する分子機構研究が高く評価されていることを示すものです。去る8月31日に東京・学士会館にて助成金贈呈会が行われました。
分子科学研究所生命・錯体分子科学研究領域の古谷祐詞准教授らの研究論文が9月25日にアメリカ化学会発行の「The Journal of Physical Chemistry Letters」オンライン版で公開され、「イオン輸送タンパク質内部で"ぶらぶら"した水分子の動きを赤外線で解明」でプレスリリースされました。
Yuji Furutani, Kuniyo Fujiwara, Tetsunari Kimura, Takashi Kikukawa, Makoto Demura, Hideki Kandori
Dynamics of Dangling Bonds of Water Molecules in pharaonis Halorhodopsin during Chloride Ion Transportation（ファラオニスハロロドプシンのイオン輸送過程での水分子のdangling bondの動態）
「The Journal of Physical Chemistry Letters」
研究論文内容の詳細は下記をご覧ください。
足立伸一研究員（高エネルギー加速器研究機構物質科学研究所教授、第1期生）らの研究論文が6月28日米国化学会会誌(The Journal of Physical Chemistry C」オンライン版に掲載され、「100億分の1秒で光増感分子の動きを観測：太陽電池や光触媒の機能をつかさどる光励起構造を解明」でプレスリリースされました。
T. Sato, S. Nozawa, A. Tomita, M. Hoshino, S. Koshihara, H. Fujii, S. Adachi
The Journal of Physical Chemistry C, Vol. 116, No. 25（June 28, 2012). doi:10.1021/jp3038285.
Coordination and Electronic Structure of Ruthenium(II)-tris-2,2' -Bipyridine in the Triplet Metal-to-Ligand Charge Transfer Excited State Observed by Picosecond Time-Resolved Ru K-edge XAFS (ルテニウムK吸収端における時間分解XAFSを用いたルテニウム(II)トリスビピリジンの三重項MLCT状態の配位状態と電子構造)
当領域の領域アドバイザーの沈建仁氏（岡山大学大学院自然科学研究科教授）および第3期さきがけ研究者の梅名泰史氏（大阪市立大学複合先端研究機構特任准教授）の下記論文がScience誌のBreakthrough of the Year 2011に選ばれました。
Umena Y, Kawakami K, Shen JR, Kamiya N. "Crystal structure of oxygen-evolving photosystem II at a resolution of 1.9 Å". Nature, 473, 55-60, (2011)