科学技術振興事業団報 第9号

平成9年2月20日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「準結晶分散型アルミニウム合金の製造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東北大学 金属材料研究所 教授 井上明久氏ならびに財団法人 電気磁気材料研究所 所長 増本健氏らの研究成果である「準結晶分散型アルミニウム合金の製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 自動車や航空機など、運輸産業の分野では、低燃費化は常に主要な課題の一つである。低燃費化を実現する方策として、軽量化やエンジンの効率向上のために、従来の鉄系部品から、より軽量なアルミニウム合金部品への転換が進められている。しかし従来のアルミニウム合金は、強さが増すと伸びが減少する傾向にあるとともに、耐熱性に欠けるという問題点があった。そのため、コンロッド(連接棒:ピストンの往復運動をクランク軸の回転運動に変換する部品)のように、軽量化が燃費の低減に大きく寄与することがわかっているにもかかわらず、アルミニウム合金部品への転換が図れていない部品がある。このため、強さと伸びにバランスよく優れたアルミニウム合金の実現が強く望まれている。
 本新技術は、アルミニウム結晶中に、準結晶という結晶でもアモルファス(非晶質)でもない特殊な構造を微細に分散させた組織を形成させることで、強度・剛性・靱性に優れるとともに、高温でも強度を保持し、かつ高延性で加工成形性に優れたアルミニウム合金部品を製造するものである。
 本新技術の開発は、YKK株式会社(代表取締役社長 吉田 忠裕、本社 東京都千代田区神田和泉町1、資本金 56億円、電話 03-3864-2000)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は3億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「準結晶分散型アルミニウム合金の製造技術」(背景・内容・効果)

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