科学技術振興事業団報 第89号

平成11年2月4日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「高エネルギー分解能分析電子顕微鏡」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東北大学科学計測研究所教授 田中通義氏の研究成果である「高エネルギー分解能分析電子顕微鏡」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 固体材料の性質は、結晶構造ばかりではなく、微細な領域の組成変化やその電子状態に依存することから、半導体分野を始めとして一層の微細化が進んでいる材料開発において、ナノメートルレベルの微小な領域において、その結晶構造と組成分析を含む電子状態を同時に高い分解能で観察できる手法が望まれている。分析電子顕微鏡による電子状態の解析では、0.2〜0.3eV程度のエネルギー分解能が必要である。しかしながら、現状のエネルギー分解能は最も良いもので1〜2eV程度であり、詳細な電子状態解析は困難であった。また、電子光学系の難しさから、ビームを絞り込むと同時に入射電子のエネルギー幅を狭くすることは容易でなかった。
 本新技術は、高いエネルギー分解能を有する電子用モノクロメーター及びアナライザーと透過型電子顕微鏡を組み合わせた分析電子顕微鏡に関するものである。本装置は、高エネルギー分解能モノクロメーターとナノメートルレベル径の電子ビームを両立させることにより、高い空間分解能で局所領域の結晶構造を明らかにするとともに、高いエネルギー分解能で局所領域の物質の電子状態解析及び元素分析を可能にし、物理、化学、生物の各分野における基礎研究や材料開発等の幅広い分野での利用が期待される。
 本新技術の開発は、日本電子株式会社(代表取締役社長 江藤輝一、本社 東京都昭島市武蔵野3-1-2、資本金32.4億円、電話0423-543-1111)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は4億円の予定である。今後科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「高エネルギー分解能分析電子顕微鏡」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

装置構成図

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This page updated on February 15, 1999

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