科学技術振興事業団 第66号

平成10年6月4日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「ミリ波センシング用低雑音増幅回路の製造技術」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、工業技術院 電子技術総合研究所 電子デバイス部 杉山佳延氏らの研究成果である「ミリ波センシング用低雑音増幅回路の製造技術」を当事業団の委託開発課題の平成5年度課題として平成6年3月から平成10年3月にかけて株式会社デンソー(社長 岡部弘、本社 愛知県刈谷市昭和町1-1、電話 (0566)25-5511、資本金 1,511億円)に委託して開発を進めていた(開発費7億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 電波利用の拡大に伴い、マイクロ波帯以下の周波数(〜30GHz)は、急速にひっ迫してきている。このため我が国では、殆ど未利用状態の高い周波数帯域であるミリ波帯域(30GHz〜300GHz)を利用しようという機運にある。しかし、従来のミリ波用デバイスは、素子を導波管などと組み合わせた構造で、大型で重く量産も困難なうえ、価格も高価で用途も限定されていた。このことから、小型で量産性に優れ、比較的安価である半導体素子を用いた、高い周波数(約60GHz)に対応し高速動作が可能な増幅器が強く望まれていた。
 本新技術は、InP基板上に電子移動度と電子濃度が最大となるよう電子走行層(InGaAs)、電子供給層(InAlAs)を形成し、その2層の間に格子歪による結晶転位の発生しない構造で、電子供給層の影響(電子の散乱)を低減させる電子分布制御層を挿入したトランジスタとすることでミリ波帯域で高速動作が可能な増幅回路を実現するものである。
 本新技術による増幅回路は、殆ど未利用状態にあるミリ波帯域での動作が可能なことから、ミリ波レーダー、ミリ波道路情報システム、移動体識別システム、構内通信等、ミリ波帯域の電波利用技術として広く用いられることが期待される。

ミリ波センシング用低雑音増幅回路の製造技術(背景・内容・効果)

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This page updated on June 19, 1998

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