科学技術振興事業団 第65号

平成10年6月4日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「高周波プラズマ法による有機系カラー薄膜の製造技術」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東洋大学工学部教授 村山洋一氏、同大学工学部助教授 柏木邦宏氏の研究成果である「高周波プラズマ法による有機系カラー薄膜の製造技術」を当事業団の委託開発制度の平成4年度課題として、平成5年3月から平成9年9月にかけて日本ペイント株式会社(社長 藤井 浩、本社 大阪府大阪市北区大淀北2-1-2資本金約277億円、電話(06)458-1111)に委託して開発を進めていた(開発費約5億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 液晶ディスプレイのカラーフィルタ等に用いられている有機系カラー薄膜は、無機系のカラー薄膜に比較して微妙な色合いを出すことができ、鮮明で透明性が大きい等の特徴がある。しかしながら、従来のカラーフィルタの製造に用いられている薄膜形成法では、薄膜の平坦性や密着性が悪く、顔料を樹脂と混合するため着色層が厚くなる、光学特性が低下する等の問題があり、新たな製造技術が求められていた。
 本新技術は、高周波プラズマ法により特性の優れた有機系カラー薄膜を製造するものである。すなわち、高真空容器内において不活性ガスもしくは有機ガスを高周波電界によりプラズマ化し、そのプラズマ中に昇華させた有機顔料を導き、顔料粒子表面を活性化させ基板へ蒸着することにより低温下で有機系カラー薄膜の形成を行うものである。
 本新技術により得られる有機系カラー薄膜は、顔料のみをガラス基板に蒸着させるため、成膜後の色々な処理を全く必要としない。また、膜厚が従来の形成法に比べ1/2以下と薄いので、透過率等の光学特性に優れており、密着性、平坦性にも優れている。以上のことから、カラー液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタや、光学機器フィルタ等に広く利用が期待される。

高周波プラズマ法による有機系カラー薄膜の製造技術(背景・内容・効果)

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This page updated on June 19, 1998

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