科学技術振興事業団 第61号

平成10年5月14日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「波長可変固体レーザーによるがん治療システム」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京医科大学教授 加藤治文氏の研究成果である「波長可変固体レーザーによるがん治療システム」を当事業団の委託開発制度の平成4年度課題として、平成5年3月から平成10年2月にかけて石川島播磨重工業株式会社(社長 武井俊文、本社 東京都千代田区大手町2-2-1、資本金約649億円、電話(03)3244-5111)に委託して開発を進めていた(開発費約4億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 光線力学的治療(PDT)は、がん細胞に集まりやすくかつ光を吸収してがん細胞を死滅させる作用を有する腫瘍親和性光感受性物質を予め患者に投与した後、患部にレーザー光を照射してがん治療を行うもので、患者の肉体的負担が少ないがん治療法として注目されている。照射光の波長は、光感受性物質に吸収されやすい波長を選択する必要があるが、従来PDT用光源として用いられているレーザー装置は、出力光の波長変更が容易でなく、現在開発されつつある様々な光感受性物質の吸収波長に対応できず、また、ガスや色素を媒体にしたレーザーを用いるため、媒体の交換が不可欠であるなど運転保守上の問題点もあった。
 本新技術は、PDTに用いるレーザー装置においてレーザー発振部に光パラメトリック発振器(注1)を備えることにより、照射光の波長を変化させて各種光感受性物質の吸収波長に対応できるようにしたものであり、固体レーザーを用いることにより、運転保守が容易になる。以上のことから、肺、食道、胃、子宮頸部などの表在性初期がんの治療に利用が期待される。

波長可変固体レーザーによるがん治療システム(背景・内容・効果)

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This page updated on June 19, 1998

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