科学技術振興事業団報 第56号

平成10年3月5日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「高速汚泥コンポスト化システム」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、大阪大学工学部 教授 藤田正憲氏、ならびにネスコ薬品株式会社 木佐木收氏らの研究成果である「高速汚泥コンポスト化システム」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 現在、産業廃棄物の半分近くを占める汚泥の最終処分は埋立が主流であるが、処分場の不足や環境汚染等の問題から、汚泥の有効利用が強く求められている。下水汚泥を中心とする汚泥の再資源化技術としては、コンポスト(堆肥)化が最も有効であると考えられているが、コンポスト化には通常1〜3ヶ月以上の期間が必要で、施設の敷地面積や装置容量、建設費が増大するという問題がある。また、汚泥のコンポスト化では、一般に、おがくずなどの水分調整材を混ぜるが、これらの分解のためにコンポスト化期間が長くなったり、コンポスト中に未消化のまま残り、品質の低下を招いている。さらに、低品質のコンポストは農家に受け入れられにくく、コンポストがたまっていくという問題も引き起こしている。
 本新技術は、下水汚泥などの有機系廃棄物とほぼ等量のコンポストを、畑の土のような団粒構造を形成するように混合し、通気と吸引を組み合わせた強制通気を行うことにより、8日間程度のごく短期間でコンポスト化を行う高速コンポスト化システムに関するものである。本システムは、水分調整材不要で、高温発酵を行えるため、衛生的で高品質のコンポストが得られる。また、切り返し等の撹拌機構が不要で、脱臭も発酵槽内で行われるために施設が簡易となる上、コンポスト化期間も短く、施設の建設費や運転費が安価となる。このため、下水汚泥などの有機系廃棄物の再資源化施設としての普及が期待される。
 本新技術の開発は、志村化工株式会社(代表取締役社長 小野正文、本社 東京都千代田区丸の内3-1-1、資本金 2,242百万円、電話03-3216-6431)に委託する予定で、開発期間は2.5年、委託開発費は約14億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

高速汚泥コンポスト化システム(背景・内容・効果)

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