科学技術振興事業団報 第51号

平成10年3月5日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「合金分散高導電性プラスチックの製造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京大学生産技術研究所教授 中川威雄氏及び同技術官 野口裕之氏の研究成果である「合金分散高導電性プラスチックの製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 プラスチックは、射出成形により様々な形状に容易に加工できることが知られている。また、プラスチックは一般に絶縁性が高い材料であるが、逆に金属並みに高い導電性をもつプラスチックができれば、射出成形により自在に配線を製作することができ、これまでの技術では製造が難しい立体配線基板や、家電製品の内部配線のプラスチックケースとの一体化が簡単にできるようになる。
 本新技術は、射出成形ができ、かつ導電性の高いプラスチックを製造する技術に関するものである。本技術では、熱可塑性プラスチック、錫合金及び金属微粉末を加熱して混練し、プラスチック中に合金を細かく連続して分散させることで高い導電性をもつプラスチックを実現する。本来、熱可塑性プラスチックと溶融した合金は分離して混ざり合わないが、本研究者らは、分散補助剤として少量の銅粉等の金属微粉末を加えることで、樹脂中に合金を分散させることに成功した。本新技術による導電性プラスチックは、体積固有抵抗が銅の約10分の1と導電性が高く、成形性に優れるため、自動車部品や家電製品用の射出導電材料としての利用が期待される。
 本新技術の開発は、新東工業株式会社(社長 矢野 武、本社 名古屋市中村区名駅四丁目7番23号、資本金58億円、電話052-582-9211)に委託する予定で、開発期間は2年、委託開発費は4億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

合金分散高導電性プラスチックの製造技術(背景・内容・効果)

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