科学技術振興事業団報 第50号

平成10年3月5日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「熱融着粉体による部分浸炭防止技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、関西大学工学部教授 赤松勝也氏の研究成果である「熱融着粉体による部分浸炭防止技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 自動車のカム、シャフト等の鋼製機械部品の多くは、一酸化炭素雰囲気下で加熱する等の方法により表面から炭素を拡散浸透させ、表面を硬質化して強度や耐摩耗性を向上させている(浸炭)。また、浸炭処理時には、後工程において切削加工や溶接をする場所等、硬質化すると不具合が生じる部分は、浸炭防止材によりマスキングしてもとの状態のまま残している(浸炭防止)。従来、浸炭防止材としては、有機溶剤を用いた塗料状のものが用いられているが、工程が煩雑なうえ自動化が困難で、作業環境に問題があった。
 本新技術は、酸化硼素、ポリエチレン及び無機材料であるシリカ等を混練分散した粉体の浸炭防止材を用いて、浸炭防止する技術に関するものである。鋼製部品の所望の部分を高周波加熱等により加熱し、粉体を吹き付けて熱融着させて塗布する。浸炭時には酸化硼素と無機材料により形成されたガラス状の膜が炭素の拡散浸透を防止する。本新技術では、塗料状のものにおける刷毛を用いた塗布や乾燥等が不要となり、工程が簡便化されるとともに、自動化が可能となる。また、有機溶剤を用いていないため作業環境が改善される。このため、自動車や工作機械等の鋼製機械部品の浸炭防止に利用されることが期待される。
 本新技術の開発は、株式会社ナード研究所(社長 南 則雄、本社 兵庫県尼崎市西長洲町2丁目6番1号、資本金6,325万円、電話06-482-7010)に委託する予定で、開発期間は4年、委託開発費は約1.2億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

熱融着粉体による部分浸炭防止技術(背景・内容・効果)

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