科学技術振興事業団報 第45号

平成10年2月17日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「プロスタグランジンD合成酵素定量による虚血性心疾患診断薬」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、財団法人大阪バイオサイエンス研究所(理事長 佐治敬三)第2研究部副部長裏出良博氏、ならびに京都大学大学院医学研究科助手江口直美氏らの研究成果をもとにした委託開発課題「プロスタグランジンD合成酵素定量による虚血性心疾患診断薬」を選定するとともに開発企業を選定した。
 狭心症や心筋梗塞等の虚血性心疾患は、初期には全くの無症状で経過し、ある程度病変が進行するまで臨床症状が出現しない。従来、虚血性心疾患の初期病変の診断は、高脂血症や糖尿病、高血圧、喫煙等のいわゆるリスクファクターの累積評価に依存している。また近年、リポ蛋白の血中濃度を測定する非侵襲的な血液診断も行われているが、虚血性心疾患の初期病変をより的確に診断できる方法の開発が望まれていた。
 本新技術は、血液内に分泌され、虚血性心疾患の原因である動脈硬化の初期病変に密接に関連するプロスタグランジンD合成酵素(PGDS)の濃度を、認識部位の異なる2種類の抗PGDSモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELSA法により微量定量し、虚血性心疾患の診断を行うものである。本新技術は、末梢血液においてPGDS濃度を簡便にかつ精度良く測定できることから、虚血性心疾患等の早期発見や治療後の経過観察等に利用が期待される。
 本新技術の開発は、マルハ株式会社(取締役社長 中部慶次郎、本社 東京都千代田区大手町1-1-2、資本金 150億円、電話 03-3216-0225)に委託する予定で、開発期間は4年、委託開発費は2.9億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

プロスタグランジンD合成酵素定量による虚血性心疾患診断薬(背景・内容・効果)
用語概要

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