科学技術振興事業団報 第40号

平成9年12月18日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「カルボキシ末端アミノ酸配列決定装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京理科大学生命科学研究所教授 次田晧氏らの研究成果である「カルボキシ末端アミノ酸配列決定装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 一般的にたんぱく質は20種類のアミノ酸が数百、一列に結合した鎖(ペプチド鎖)の構造(一次構造)となっている。たんぱく質の研究では、この一次構造におけるアミノ酸配列を決定することが不可欠の作業である。たんぱく質のアミノ酸配列を決定する方法として、一次構造における一方の端部であるアミノ基側の末端(N末端)のアミノ酸から解析するエドマン法があり、この方法による自動分析装置が普及している。しかし、自動分析装置では一度に50個前後の配列しか決定できないことや、他方のカルボキシル基側の末端(C末端)のアミノ酸配列はエドマン法では解析しにくいこと、さらには約半数のたんぱく質においてN末端が修飾されてエドマン法を直接適用できないことなどから、アミノ酸配列を完全に決定するには、C末端からアミノ酸配列を解析する方法の確立が望まれていた。最近になってC末端からのアミノ酸配列の解析の自動化が試みられているが決定できるアミノ酸の数や、微量試料への対応の面で必ずしも十分ではなかった。
 本新技術は、たんぱく質に過フッ素酸を作用させることによりC末端から次々にアミノ酸が遊離していく分解反応に着目し、たんぱく質のC末端アミノ酸のみを一つずつ遊離し、遊離したアミノ酸の種類を解析するオキサゾロン法を利用したC末端アミノ酸配列を決定する自動分析装置に関するものである。本新技術においては、分解反応の収率が比較的高いため一度に解析できるアミノ酸数が多く、遊離したアミノ酸に高感度検出可能な蛍光物質等を選んで修飾して分離・同定することができるため、微量の試料の解析が可能となる。本装置によれば、たんぱく質のC末端アミノ酸配列を高感度で直接決定できることから、生物関連の先端的な研究開発においてたんぱく質の分析手段として用いられ、分子生物学、医学・薬学への貢献が期待される。
 本新技術の開発は、東京理化器械株式会社(代表取締役 千野英賢、本社 東京都中央区日本橋本町3-3-4、資本金19,000万円、電話048-722-3711)に委託し、開発期間は2年間、委託開発費は約1.8億円を予定している。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

カルボキシ末端アミノ酸配列決定装置(背景・内容・効果)

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