科学技術振興事業団報 第37号

平成9年11月27日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「呼吸筋機能測定装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、元 東北大学 医学部 教授 瀧島 任氏らの研究成果である「呼吸筋機能測定装置」を当事業団の委託開発課題の平成2年度課題として平成3年3月から平成9年3月にかけてチェスト株式会社(社長 保木 敏明、本社 東京都文京区本郷3-6-10、電話 (03)3812-7251、資本金 7,000万円)に委託して開発を進めていた(開発費約187百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 高齢者人口の増加に伴い、呼吸困難を訴える患者数も増加の傾向にある。呼吸困難の原因としては、肺気腫、慢性気管支炎、ぜんそくなどの呼吸器疾患の他、心臓血管系疾患、血液性疾患などであるとされている。しかし、近年、肺を拡張・収縮させる横隔膜や肋間筋などの呼吸筋の運動効率の低下も呼吸困難の原因の一つであることが明らかとなった。
 本新技術は、(*1)死腔(dead space)の容積増加に伴って呼吸が激しくなり換気量が増加する(*2)現象を用いて、被験者の口腔に接続した呼吸回路の死腔を連続的に増加させ、呼吸運動に働く横隔膜や肋間筋などの筋肉(呼吸筋)の酸素消費量変化から、呼吸筋の運動効率を測定する装置に関するものである。
 本装置は、呼吸筋の機能異常の診断とその治療効果の判定に有効であり、また呼吸困難感が呼吸筋の酸素消費量と相関することから呼吸困難度の客観的指標が得られるほか、スポーツ医学などの研究分野で広い利用が期待できる。

(*1)呼吸は、ガス交換を司っている肺の働きによって行われており、肺と外界を結んでいる気道など直接ガス交換に関与していない部分を死腔という。

(*2)例えば、パイプを口にくわえた場合、無意識にパイプの容積をこえて外の新鮮な空気を吸おうとする現象

「呼吸筋機能測定装置」(背景・内容・効果)

呼吸筋機能測定装置の概要図

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