科学技術振興事業団報 第333号
平成15年7月3日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話048(226)5606(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

抗癌剤感受性検査キットの開発に成功

(科学技術振興事業団 委託開発事業)

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、窪田倭氏(聖マリアンナ医科大学 一般外科教授)の研究成果である「抗癌剤感受性検査キットの製造技術」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成12年3月から平成15年3月にかけて特許キャピタル株式会社(代表取締役社長 奥山尚、本社 東京都新宿区余丁町14-4、資本金 3億5063万円、電話:03-5919-1761)に委託して開発を進めていました(開発費約1億7800万円)が、このほど本開発を成功と認定しました。

(開発の背景)
 癌の治療においては各種の抗癌剤が投与されますが、癌の種類や患者個々人の差により有効抗癌剤が異なるため、投与前に適切な薬を選択する目的で感受性検査が行われています。しかし、従来法では精度が十分とは言い難く、また、固形癌(大腸癌等)及び浮遊癌(腹水癌等)の両方に適用可能な検査法はないため、より信頼性が高く固形癌及び浮遊癌の両方に適用できる感受性検査が望まれていました。

(開発の内容)
 本新技術は、特殊なハイドロゲル(TGPゲル※1)中で癌組織片を各種抗癌剤と一緒に培養し、培養後の生存癌細胞の活性から抗癌剤感受性を精度良く判定する検査キットに関するものです。このゲル中では、癌細胞の活性を維持したまま、癌組織を培養できます。本新技術は、真陽性率※2(有効と判定された薬剤が臨床効果を発揮する割合)が約90%と従来法の約60%(HDRA※3法)に比べ非常に高い精度を示しており、また、固形癌及び浮遊癌の両方に適用できます。

(開発の効果)
 本新技術による抗癌剤感受性検査は、癌患者毎に適切な抗癌剤を選択できるので、癌患者のQOL(クオリティオブライフ)の向上や無効抗癌剤の使用抑制による医療費の削減効果が期待されます。

・本新技術の背景、内容、効果の詳細
【用語解説】
・図1.本技術による抗癌剤感受性検査の手順
・図2:滅菌済み乾燥TGPを充填したマルチウェルプレート
・開発を終了した課題の評価

なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部開発推進課 菊地、佐藤[電話(03)5214-8995]
特許キャピタル株式会社 総務部(広報) 越野 [電話(03)5919-1761]


This page updated on July 3, 2003

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