科学技術振興事業団報 第33号

平成9年10月2日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「揮発性有機塩素溶剤の閉鎖系分解処理装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、日本原子力研究所(理事長 吉川允二)大洗研究所矢幡胤昭氏らの研究成果である「揮発性有機塩素溶剤の閉鎖系分解処理装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 トリクロロエチレン等の揮発性有機塩素溶剤は、電子部品や機械部品等の洗浄工程や、衣類のドライクリーニング等に大量に使用されている。しかし、揮発性有機塩素溶剤は発がん性が指摘され、使用済み溶剤の安全で取り扱い容易な処理技術の出現が望まれていた。現在、電子・機械産業等の溶剤の排出事業者においては、排出の抑制を図るとともに、処理業者に処理を委託している。処理業者は、揮発性有機塩素溶剤の処理方法として、ロータリーキルン焼却炉内での焼却処理を行っているが、燃焼時に発生する酸性ガスが塩素を含むために焼却炉の腐食を起こす等機械的安全性の問題と、排ガスや煤塵等の完全な処理を要するための装置の大型化等の問題があった。
 本新技術は、揮発性有機塩素溶剤を加熱してガス化し、これと加熱流動化した酸化カルシウムと反応させることにより、溶剤に含まれる塩素を塩化カルシウムに直接変換し、無害化処理するものである。本新技術による分解処理装置は、分解処理を閉鎖経路内で行うため未反応有害ガスの排出のおそれがない、反応が空気雰囲気で扱えるため操作が容易である等の特徴を有する。また、用いる酸化カルシウムが安価であり、得られる二次廃棄物である塩化カルシウムも再利用が可能である。
 本新技術の開発は、森川産業株式会社(代表取締役社長 森川健司、本社 長野県更埴市大字鋳物師屋150、資本金 2億3,500万円、電話 026-272-0640)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は4.8億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「揮発性有機塩素溶剤の閉鎖系分解処理装置」(背景・内容・効果)

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