プレベンチャー事業で「鉄シリサイドを利用した光センサ」の研究開発に成功
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科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行う新規事業志向型研究開発成果展開事業(プレベンチャー事業)※を実施してきました。 この度、プレベンチャー事業において平成12年度より開始した研究開発課題「鉄シリサイド光センサ」の研究開発チーム(リーダー:牧田 雄之助(産総研・主任研究員)、サブリーダー:中山 靖彦)のメンバーが出資して、ベンチャー企業、株式会社環境セミコンダクターズ(社長:中山 靖彦、本社:東京都町田市 町田テクノパーク、資本金:1,000万円)を平成15年2月25日に設立しました。 近年、光センサは光通信や計測用デバイスとして幅広く用いられています。しかし、現在のガリウムやヒ素等からなる光センサは、原材料や製造プロセスに有害物質を使用しているため、廃棄時に環境に与える負荷が大きく、高価な基板材料を必要とするため製作コストが高くなる等の問題がありました。 本チームは、環境に無害である鉄(Fe)とシリコン(Si)を原料に、光通信で多用される波長1.5μm帯に大きな感度をもつベータ鉄シリサイド(β-FeSi2)半導体薄膜を用いた新しい光センサの研究開発に成功しました。本光センサは、価格が非常に安くかつ安定な原材料を使用するため、従来の光センサよりも製作コストを大幅(1/4)に低減できます。また、化学的に安定で耐湿性・耐熱性が高い等の特長を有しており、従来利用が困難であった屋外など悪環境下での使用が可能となるため、応用範囲の広い計測用および光通信用光センサとして計測機器分野および光通信分野等への利用が期待されます。 光通信用光センサの市場は、350億円以上(2000年、光産業技術振興協会調査)、2010年には700億円以上と予測され、株式会社環境セミコンダクターズは、20億円の売り上げを目指します。併せて、本技術の発光や太陽光発電、高速電子動作をするデバイス等としての応用の研究開発を進めます。 | ||||||
本件についての問い合わせは、企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室 (電話03-5214-0016) 服部又は金子までご連絡下さい。 | ||||||
※新規事業志向型研究開発成果展開事業は平成14年度より研究成果最適移転事業 成果育成プログラムC(略称;プレベンチャー)に継承されております。 | ||||||
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