科学技術振興事業団報 第268号
平成14年10月16日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

レーザ加工とマシニングセンタ加工を融合させた金属加工技術開発に
世界で初めて成功

 科科学技術振興事業団(理事長:沖村憲樹)と福井県にて平成12年度より推進中の福井県地域結集型共同研究事業(中核機関:(財)福井県産業支援センター(理事長:下川道雄)、事業総括:松浦正則(⑭松浦機械製作所 代表取締役社長))において、レーザ金属焼結造形技術と精密金属切削技術とを高度に組み合わせた、新しい金属加工成形技術の開発に世界で初めて成功した。また、この技術を装置化して、高速全自動での金型製作などを可能とする世界で初めての「多機能フォトンマシニングセンタ」を試作した。
 この多機能フォトンマシニングセンタ試作機は、鉄系の金属粉末をレーザビームで層状に焼き固め、積み重ねながら三次元造形を行うとともに、造形の途中毎に形状寸法および表面粗さを整形するために、スピンドル刃物で精密に高速切削仕上げ加工を行うもので、特に家電製品等多品種小ロットの生産用金型製作向けに開発された。
 これにより、金属母材を切削してから放電加工する方法で家電製品などの射出成形用金型製作を行う従来の加工法と比較すると、新製品の形状を設計した後、金型の完成まで2週間~4週間かかっていたが、この試作機では、3~5日間で、かつ一度作業がスタートしたら仕上がりまで中途メンテナンスなしで完成させることが出来るため、コストダウンと製品開発スピードが要求される産業界に大きなインパクトを与えるものと期待される。
 なお、本研究成果は、松浦機械製作所、松下電工、大阪大学、福井県工業技術センターおよび(財)福井県産業支援センターの共同研究チームによって得られたもので、平成14年10月28日から11月4日まで東京ビックサイトで開催される、第21回日本国際工作機械見本市に出展し、開発技術内容を発表する予定である。
 この試作機で用いたレーザは、最大出力500Wの連続発振Nd:YAG(ネオジウム:YAG)であるが、将来的には本共同研究プロジェクトで並行して研究開発中のYb:YAG(イッテルビウム:YAG)レーザを搭載した試作機の開発を行う予定である。

(補足説明)
(参考写真)多機能フォトンマシニングセンタ

本件に関する問い合わせ先:

高岡 勉(たかおか つとむ)
 財団法人 福井県産業支援センター 産業科学技術研究センター 研究員((株)松浦機械製作所 派遣)
 〒910-0102 福井県福井市川合鷲塚町61字北稲田10
 財団法人 福井県産業支援センター 産業科学技術研究センター コア研究室
 TEL 0776-55-1555 / FAX 0776-55-1877

菊地 文彦(きくち ふみひこ)
 科学技術振興事業団 地域事業推進室 調査役
 〒332-0012 埼玉県川口市本町4-1-8
 TEL 048-226-5634 / FAX 048-226-5666

青山 文夫(あおやま ふみお)
 財団法人 福井県産業支援センター 産業科学技術研究センター 室長
 〒910-0102 福井県福井市川合鷲塚町61字北稲田10
 TEL 0776-55-1555 / FAX 0776-55-1878


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