音声通話による非同期型の新しい会話システムの開発に成功(科学技術振興事業団 委託開発事業) 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、京都工芸繊維大学 工芸学部電子情報工学科 助手 西本卓也氏の研究成果である「コミュニティ形成支援機能を持つ音声会議システム」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成12年3月から平成14年3月にかけてインターネット事業関連のベンチャーである株式会社ネットイン京都(代表取締役 高木治夫 本社 京都市中京区蛸薬師通烏丸西入ル ヒライビル3F、資本金 24百万円、電話:075-256-5566)に委託して開発を進めていた(開発費143百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
現在、インターネット上で電子メール(特に携帯電話によるメール)や電子掲示板と言ったコミュニケーション手法が急速に普及し、社会的に大きな影響力を及ぼしている。これらのメディアは、(1) 非同期通信であり、(2) 内容の保存が容易、(3) 多数への同時配信(閲覧)が容易、(4) 通話コストが安い等の特徴があるが、文字を主体としたものであり、なりすまし等情報の信頼性の欠如や表現力に欠ける。また、それを利用するためパソコン等の操作を必要とする。これに対して従来の電話によるコミュニケーションは、話者が同時に会話を行う同期(リアルタイム)通信であり、相手が同時にいないと成り立たない。そこで非同期コミュニケーションの持つ合理性と、音声通話による利便性、信頼性を併せ持つ「非同期音声通話」という新しいコミュニケーション手段が望まれていた。
本新技術は、インターネットを利用した音声通話により、電子メールや電子掲示板の様な非同期型コミュニケーション型の会議が出来る音声会議システムである。本システムでは、(1) パソコンや一般電話、携帯電話から簡単な操作(音声入力)で利用することができ、(2) 過去に発言された音声(文字情報も含む)を聞きながら発言、相槌することが可能であり、(3) そのときの発言や相槌が正確に取得され割り込みが再現できる。(4) また、音声認識技術を用いて音声発話された内容を文字情報に変換できる。即ち、短い発話は相槌としてとらえ、元のメッセージに重ねて(オーバーラップ)再生され、長い発話は内容を聞き取りやすくするため、割り込み再生される。いずれの場合も、発話したタイミングで再生されるため、再生時には、非同期でありながらあたかも今議論が行われているような臨場感を作り出すことが出来る音声会話システムを実現した。 (注) 本技術は音声が100%認識されることを保証するものではありません。
本新技術は、インターネット利用した非同期型の音声通信による会話システムであり、音声入力による操作が可能であることから (1)高齢者や障害者でも電話、パソコン等から簡単に利用できる。 (2)非同期のため、個人の都合に合わせて参加できる。 (3)多数の参加、閲覧が可能。 (4)インターネット電話の利用により通話コストを定額制にできる。 などの特徴を持つため、新たなコミュニケーション手段として利用されることが期待できる。
(注)この発表についての問い合わせは以下の通りです。
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This page updated on August 29, 2002
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