4. | 戦略目標:「水の循環予測及び利用システムの構築」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
研究領域:「水の循環系モデリングと利用システム」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
−水資源と気候、人間活動との関連を踏まえた水資源の循環予測・維持・利用のシステム技術の創製を目指して− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
総評 : 研究統括 虫明 功臣(東京大学生産技術研究所 教授) 「水循環の諸過程の科学的解明と予測に基づいた、持続可能な水の利用システムの構築を目指して」 この研究領域は、本年度からスタートする予定のものである。 前世紀後半から始まった急激な人口増加と人間活動の拡大は、世界各地で水不足、水環境の劣悪化、洪水被害の増大などの水問題を発生させ、今世紀中頃にかけて特に開発途上国においてますますその深刻さが増すと予想されている。また、地球温暖化等を含む気候変動が水循環/水資源に及ぼす影響が懸念されている。こうした問題の解決に向けて、世界的な情報交換と協力が必要であるとの認識が高まる中で、この研究領域は、水循環に係わる諸現象の科学的解明とともに、問題解決に向けての研究開発を戦略的に誘導するために設定された。 合計48件の応募があり、その内訳は、国公私立大学から37件、国公立研究機関から8件、民間企業から2件、その他2件であった。提案の内容は、種々のスケールの水循環プロセス、あるいは水循環系と植生生態系や水質/物質循環系との関係など、現象解明を重視した研究から、人間活動や社会経済条件を考慮に入れた水循環/水資源の評価、水循環/水資源システムの保全・回復技術の開発、そして水循環や物質循環に関する計測技術の開発まで、多岐にわたった。ただし、世界的にも重要視され、かつ本研究領域でも応募が期待された食糧生産/農業灌漑排水と水循環/水資源に関する研究の提案がきわめて少なかったのは残念であった。 採択された課題は、大別すると、特に東アジア域に焦点を当てて降水あるいは水資源予測の精度向上を目指す研究が2件、地球規模、モンスーン・アジア域あるいは黄河流域等といった異なるスケールに対して人間活動/社会経済条件を考慮した水循環/水資源モデルを構築し、持続性の高い人間−水循環システムへの提案を目指すものが4件である。いずれの課題も、世界の、とりわけアジアの水問題の理解と解決に向けて、日本から発信できる貴重な成果が期待できる。 |
This page updated on November 12, 2001
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