<用語解説>


 
*1 量子的に閉じ込められた状態
狭い領域に電子が閉じ込められると、領域の境界で電子が反射されることにより電子の波が重なり合い特定の波紋が形成される。構造の寸法がさらに小さくなると特定の波のパターンに対応した特定のエネルギーにしか電子が存在できなくなる。このように電子が存在できる状態が特定のエネルギーに集中した状態を量子的に閉じ込められた状態という。
   
*2 ナノ構造半導体(量子ドット)
ナノメーター(nm)は1ミリメータの百万分の一の大きさであり、原子数個の大きさである。一方、電子の波の長さ(波長)は材料、エネルギーにより異なるが数nmから数十nmである。構造の大きさがこれらのサイズに近く、少数の原子、電子を制御する革新的な構造をナノ構造と総称している。ナノ構造半導体の中で電子がその中に三次元的に閉じ込められた構造を量子ドット(量子箱)という。
 
*3 量子コンピュータ
いままでの1、0を使う古典ビットに対し、1と0が量子的に重なった状態である量子ビットを使用する計算機で、実現されれば現代のコンピュータが解くのに何十年もかかるような因数分解を数秒で解けるようになると期待されている。
 
*4 伝導電子
伝導帯というエネルギー状態に属し、半導体中を自由に動き回ることができる電子のことをいう。半導体デバイス(トランジスタなど)の動作はこの伝導電子により支えられている。
 
*5 走査型トンネル顕微鏡(STM)
先端が原子オーダーで尖った針で表面から特性をナノスケールで測定するシステムで、表面の構造が原子の精度で測定できる。この走査トンネル顕微鏡(STM: Scanning Tunneling Microscope)では、流れる電流と加えた電圧の微分特性から電子が存在できる密度を局所的に測定することも可能であり、この測定原理が今回の研究に応用されている。
 

This page updated on November 1, 2001

Copyright©2001 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp