科学技術振興事業団報 第18号

平成9年5月13日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「有機溶媒耐性抗体による貝毒の測定技術」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、大阪府立公衆衛生研究所 公衆衛生部 総括研究員 高垣裕氏、食品細菌課 主任研究員 濱野米一氏らの研究成果である「有機溶媒耐性抗体による貝毒の測定技術」を委託開発制度の平成4年課題として平成5年3月から平成9年2月にかけて、株式会社ヤトロン(社長 内藤修、本社 東京都千代田区東神田2-1-11 電話03(3862)1761 資本金25百万円)に委託して開発を進めてきた(開発費1億53百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 本来は無毒な食用二枚貝(ホタテガイ、ムラサキイガイ、アサリなど)が、季節的、地域的に毒化し、これを食した人が下痢を引き起こす事例が知られており、その主原因物質の一つにオカダ酸群化合物がある。このオカダ酸群化合物は難水溶性であるため、測定には抽出、精製などの煩雑な前処理を必要とする。現在、貝毒検査の公定法として定められている方法は、難水溶性の貝毒を前処理して得た試料をマウス腹腔内に投与して毒性を評価するものであるが、結果が出るまでに時間を要する。このため、これらの難水溶性の物質を簡便、短時間に測定する技術が求められていた。
 本新技術は、この下痢性貝毒(オカダ酸群化合物)を簡便、短時間に測定するものである。難水溶性の貝毒と親水性のキャリアー(ヒトIgG)とを反応させて複合化抗原を作製し、マウスの腹腔内に投与して免疫した後、マウスの脾臓細胞とミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の融合細胞を選別し、この細胞から有機溶媒耐性のモノクローナル抗体を得た。このモノクローナル抗体を用いて有機溶媒中で貝抽出物と抗原抗体反応を行い、貝毒(オカダ酸群化合物)を測定するものである。
 本新技術によれば、下痢性貝毒であるオカダ酸群化合物を簡便、短時間、高感度に測定できるため、養殖場などで水揚げした貝の毒化を短時間でチェックできる。

「有機溶媒耐性抗体による貝毒の測定技術」(背景・内容・効果)

※詳細情報についてご希望の方は、当事業団総務部広報担当までお申し込みください。
 TEL:048-226-5606 FAX:048-226-5646


This page updated on March 5, 1999

Copyright© 1997 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp