科学技術振興事業団報 第177号
平成13年9月21日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話048-226-5606(総務部広報室)

「国際科学技術ジャーナリスト会議(東京2001)」の開催について

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は科学技術ジャーナリストの在り方を問い、資質の向上に努める日本科学技術ジャーナリスト会議(会長 牧野賢治)と共催し、10月24日から26日に日本科学未来館で下記の通り国際科学技術ジャーナリスト会議を開催いたします。

(1) 概要
@ 統一テーマ
 「新しい世紀の科学技術とコミュニケーション」
   
A 開催趣旨
 科学技術が進歩するなかで、環境の破壊が心配され、人口の増加が進む地球。21世紀の社会・環境はどうなっているだろうか。食料・エネルギーは足りるのだろうか、途上国の開発と貧困問題は解決されるのだろうか。医療の進歩や情報化社会の行く手にも未知の世界が広がっている。新世紀、科学技術創造立国を目指す我が国において、これらの問題を解決し、豊かで安全、安心な社会を構築していくためには、質の高い科学技術系人材を数多く輩出するとともに、市民の科学技術に対する関心の喚起と理解の増進が重要となる。これに伴い、科学技術と市民の間をつなぐ科学技術ジャーナリストの役割がますます高まっていく。
 そこで、日ごろから科学技術の基礎的研究等を推進するとともに、科学技術の理解増進に取り組む「科学技術振興事業団」と、科学技術ジャーナリストの在り方を問い、資質の向上に努める「日本科学技術ジャーナリスト会議」は、「国際科学技術ジャーナリスト会議」を開催し、新しい世紀における科学技術と社会のコミュニケーションのあるべき姿を探ることとした。より良い社会のために、科学者・技術者が科学技術に関わる研究開発を行う一方で、市民が科学技術に対する知識を増やし理解を深めるため、科学技術ジャーナリストが良質の報道を行うことが重要であり、これにより科学技術と社会とのチャンネルの構築につながるものと考える。
   
B 主催者名及び所在地
科学技術振興事業団 埼玉県川口市本町4丁目1番8号
  日本科学技術ジャーナリスト会議 東京都港区新橋2−10−5 末吉ビル6F
          (財)科学技術広報財団 内
   
C 開催日時
2001年10月24日(水)〜26日(金)
   
D 開催場所
日本科学未来館(東京都江東区青海2丁目41番地)
   
E 参加費
入場無料
   
F 公式言語
日本語/英語(イブニングセッションは日本語のみ)
   
G 後援
文部科学省(予定)、(社)日本新聞協会、(社)日本雑誌協会、(社)日本民間放送連盟、日本放送協会
   
H 参加申し込み
 下記インターネットホームページから参加申し込みができます。
   http://ppd.jsf.or.jp/icstj/
 または、指定の参加申込書に必要事項を記入の上、下記事務局宛にお送りください。
   
(2) タイムスケジュール
※特に記載がない限り場所はみらいCANホール
※下記講演者及びパネリストは今後追加等の予定有り

10月24日(水)    
09:30〜09:45   開会式
主催者挨拶
      
09:45〜12:00   特別講演
James Cornell  President, International Science Writers Association (ISWA), 米国
Wolfgang Goede  Editor, P.M. Die Welt des modernen Wissens (月刊誌), ドイツ
毛利衛 日本科学未来館 館長
     
14:30〜17:20   セッション1「科学技術ジャーナリズムは何をなすべきか」
 
コーディネーター 中村雅美(日本経済新聞社編集委員)
趣旨 科学技術はこれまで社会の発展を促し、人々に夢を与えてきた。その一方で、われわれの社会に「負の影響」をももたらした。クローン技術に見られるような生命科学は人々に「生」と「命」を改めて考えさせていることや、さまざまなプラスチック製品は生活を豊かにした反面、廃棄物や環境ホルモンなどの深刻な課題をもたらした。
 こうした科学技術がもっているプラスとマイナス面をジャーナリストは正しく社会に伝えてきただろうか。科学技術ジャーナリストの使命は、ブラックボックス化し中味が見えにくくなった科学技術と社会・市民を結ぶ架け橋になることだが、そうしたことを全うしてきただろうか。科学技術報道の現状を分析するとともに、今後とるべき手だてを探る。
    パネリスト
 
Lisbeth Fog President, Colombian Association of Science Journalism, コロンビア
Philipe Gauthier  Association des communicateurs scientifiques du Quebec, カナダ
Istvan Palugyai Vice President, The European Union of Science Journalists' Associations (EUSJA),
Science Editor, Nepszabasdsag (日刊紙), ハンガリー
Paul Raeburn Senior Writer, Business Week
President, National Association of Science Writers, 米国
中野不二男 作家・科学評論家
     
17:30〜19:30   レセプション(会費3,000円・7階第3会議室)
     
     
10月25日(木)  
09:30〜12:30   セッション2「テレビが伝える科学技術情報、そのいまとこれから」
 
コーディネーター 小出五郎(NHK解説委員)
趣旨 科学情報を伝える上で映像は重要な手段であり、テレビはその映像を伝えるメディアになっている。
 ドキュメンタリーを制作した各国の優秀なプロデューサー/ディレクターが、それぞれ自作品の一部を上映し、それを軸に議論を展開する。科学技術情報を伝えるときのテレビの特性は何だろうか。それぞれの国の中で、どのような役割が最も重要と考えるか。
 テレビの限界や、現実の壁をどのように考えるか。映像化の技術革新をどう取り入れ、どう利用しているか。テレビが伝える「いま」、そして「これから」への期待と憂慮は何か。そのほかの問題を具体的かつ建設的に討論したい。
  パネリスト
 
Kwang-Bum Kim Director, EBS (Educational Broadcasting System), 韓国
Veronica Mannix  Eldorado Films, カナダ
Anita Varma Director of “The Changing Moon”, CIET, インド
林勝彦 NHKエンタープライズ21 エグゼクティブプロデューサー
細田英之 TVジャーナリスト
 
14:00〜16:50   セッション3「地球温暖化問題と世界の報道」
 
コーディネーター 横山裕道(毎日新聞社論説委員)
趣旨 地球温暖化防止のため1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択された。今後、温室効果ガスの削減目標を一段と厳しくするなど、国際社会が温暖化防止で有効な手を打たないと、人類は異常気象の頻発、海面上昇などの影響をもろに被る可能性が高い。
 今世紀最大の課題を世界の記者はどう報道したのか。COP7を前に議論し、温暖化防止に向けたジャーナリズムの役割を探る。
  パネリスト
 
Jim Detjen Director, Knight Center for Environmental Journalism, 米国
Darryl D'Monte  Chairperson, Forum of Environmental Journalists of India (FEJI)
President, International Federation of Environmental Journalists (IFEJ), インド
Michael Grubb Professor, Imperial College, イギリス
浅岡美恵 気候ネットワーク代表、弁護士
竹内敬二 朝日新聞社 論説委員
     
17:00〜19:00   イブニング・セッション「わかりやすさを考える」(7階第3会議室)
コーディネーター 木元俊宏(朝日新聞東京本社アエラ編集部記者)
趣旨 科学・技術解説に於いて、内容を平易で魅力的なものにすることは、昔も今も重要な課題である。一般向け媒体では、しばしば科学技術解説は「難しい」と敬遠されがちだ。とくに現在では、科学系雑誌の廃刊に見られるように、日本に於ける一般向け科学・技術出版の現状には厳しいものがある。
 本セッションでは、このような状況をふまえつつ、一般向け科学・技術記事のライティングのあり方や、そのはらむ課題−−例えば疑似科学情報の跋扈に対して私たちはどう対処すべきか−−、またこの業界の展望などを、実際のこの仕事に携わる皆さんの参加をもとに、ざっくばらんに語り合いたい。
話題提供
金子隆一 サイエンスライター
皆神龍太郎  パソコン雑誌副編集長
     
     
10月26日(金)  
09:30〜12:00   セッション4「暮らしの安全とメディアの役割」
 
コーディネーター 高橋真理子(朝日新聞社論説委員)
趣旨 食べ物や健康に関する情報は、多くの人が欲している。一方、健康を脅かすほとんどの物は目に見えない。何が発がん物質なのか。何がアレルギーを引き起こすのか。ダイオキシンは何に含まれているのか。飲み水は安全なのか。人々は自らの五感を頼りに判断することはできず、マスコミなどから情報を取り入れて対処するしかない。
 安全と危険をめぐるさまざまな情報をどうとらえ、どう伝えていくべきか。日米欧の現状を紹介し合いながら、議論を深めたい。
  パネリスト
 
Jeremy Webb  Editor, New Scientists, イギリス
飯島裕一 信濃毎日新聞 編集委員
中島秀人 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 助教授
 
14:00〜17:00   公開講座
 
コーディネーター 小川明(共同通信社編集委員)
趣旨 科学と技術が急速に発展し、人々の生活や経済、政治、文化などに一層大きな影響を与えつつある。この傾向は21世紀に、さらに進むだろう。しかし、最新の成果や動向が分かりにくくなっており、多くの人々は関心を持ちながらも、科学や技術を別世界の出来事ととらえようとしている。科学や技術の専門家の間でさえも、互いに理解し合いにくくなっている。
 科学や技術はすぐれて人間の営みである。市民を置き去りにして、科学や技術は成り立ない。人々の支持や参加は、ますます必要になってきている。多彩で、異質な4人の講演者がそれぞれの視点から、現代の科学技術やジャーナリズムへの思い、批判などを、科学に関心のある人々に語る。
  講演者
 
Alun Anderson Editer-in-chief, New Scientist, イギリス
Werner Hadorn  President of the European Union of Science Journalists' Associations (EUSJA), スイス
瀬名秀明 作家
米澤富美子 慶應義塾大学理工学部 教授
      
17:00〜17:30   閉会式
     
     
10月24日12:00〜10月26日14:00  世界の科学技術メディア展(7階第2会議室)
コーディネーター 武部俊一(前朝日新聞社論説委員)
趣旨 国際科学技術ジャーナリスト会議の会期中に、セッションと並行して世界の科学技術メディア(雑誌、新聞など)の実物を目にする展示会を開設する。参加者に科学技術ジャーナリズムの差異や、わかりやすく伝える各国の工夫などを見ていただき、メイン会場での議論が、よりよく理解できるような資料展とする。
 
 
問い合わせ先: 科学技術振興事業団
科学技術理解増進部(担当:三木、嶋瀬)
〒102-0081東京都千代田区四番町5−3
TEL 03-5214-8458 FAX 03-5214-8430

事務局:財団法人日本科学技術振興財団 
振興部(担当:山口、高橋、岡野)
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号
TEL: 03-3212-8487 FAX: 03-3212-0014
 

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