研究開発課題の概要


○血液凝固因子生産型バイオリアクター
 ヒト、ヒト遺伝子導入ブタ由来の肝細胞等を、肝細胞の機能を制御する糖鎖ポリマーを用いて培養することにより、培養肝細胞の血液凝固因子の生産効率を高めたバイオリアクターの設計開発を行う。本技術の肝細胞バイオリアクターにより、手術時の大量出血防止に用いられる高価な新鮮凍結血漿の代替が可能な多種血液凝固因子混合製剤の生産が期待される。

○蛋白質の徐放性製剤
 低身長に悩んでいる小人症の子供の治療にヒト成長ホルモン(hGH)が用いられている。通常、水溶液の状態で注射されるが、hGHが急激に高濃度で血中に入るため頭痛などの副作用が起こる。その上、hGHは血中での寿命が長くないため短時間で消失してしまう。そこで連日の注射が必要となり、患者の苦痛は避けられない。これを解決するため、hGHを特殊なマイクロカプセルに閉じ込めたものを注射し、注射直後からhGHを徐々に溶出させるようにすると2週間に1回の注射で済み、副作用も回避できる製剤を開発する。

○在宅健康管理ヘルスケアチップ 
 微量血液により健康マーカーを在宅で分析・計測する安価な使い捨て「ヘルスケアチップ」を実用化する。血液は電気浸透流ポンプにより微細な無痛針を介して生体適合性膜をコートしたマイクロキャピラリ内に採取され、血球の分離を経て、血清を健康マーカーの項目別に個々のセンサーを用いて分析する。この結果は検査・表示装置によって専用ポートから出力され、継続的に蓄積された健康管理データとの比較から早期の予防を支援する。

○ダイヤモンド電極による生体成分分析装置
 ダイヤモンド電極をセンサー材料とする生体成分分析装置は医療用高感度分析のみならず、一般家庭用尿成分分析器、食品成分分析器、環境検査装置等へ利用が期待される。本研究開発では、ダイヤモンド薄膜の製膜技術の最適化、性能・耐久性の評価・検討等を行い生体成分分析装置の実現を目指す。

○高性能組込マイクロプロセッサ
 安全かつ低コストで周辺装置を操作可能にするMVI(Memory-based Virtual Interface)技術、周辺装置と効率良く協調動作を可能にするDMA(Direct Memory Access)協調動作命令、メモリ使用効率を改善するエラスティック・プリフェッチ技術を導入した組込マイクロプロセッサの研究開発を行う。上記技術をベースに開発される高性能・低消費電力・低価格のマイクロプロセッサは、高度IT社会のネットワーク機器や情報家電機器への利用が期待される。

○能動チューブマイクロシステム 
 マイクロマシニング技術を用いて、生物のように柔らかく複雑な動きを可能とするチューブ状能動機構の研究開発を行う。直径0.3〜5mmの索状物に、形状記憶合金ばねによるマイクロ運動素子と各種マイクロセンサが分布する。カテーテルやガイドワイヤーを用いた血管内などにおける低侵襲医療、細い配管内や建物の亀裂内部の検査およびメンテナンス、柔らかく複雑に動く部品としてアミューズメント分野などへの利用が期待される。

○液晶による位置制御用精密測長器 
 液晶の電気光学効果を利用するサーボ機構の高精度測長技術を研究開発する。本技術によって、サーボに目標を直接指示できると共に、光センサーの出力から移動量の高精度ナノメートル位置検出が可能である。半導体生産装置、光・ハードディスク欠陥装置、レーザ工作機械、3次元スキャナ等の精密位置決めへの利用が期待される。

○高分子アクチュエータ能動カテーテル
 低電圧の電気信号でイオン交換樹脂中のイオンが移動することにより、高分子が伸び縮みする高分子アクチュエータ材料を先端部分に用いた能動カテーテルの研究開発を行う。能動カテーテルは血管の分岐部等を体外からのコントロールにより選択して進めることができるため、手術の安全性、確実性が向上し、血管内手術方法を改善するものである。血管内手術は従来の体を切り開く手術方法に比較し、人にやさしい手術方法であり、医療分野での利用が期待される。

○エンジンシリンダコーティング
 回転棒材とシリンダとの間の機能性膜成形体を摩擦熱によって可塑化し、シリンダに圧着させる改質プロセスの実用化に関する研究開発を行う。本技術は、アルミ合金製自動車用エンジン等のシリンダ内面に、アルミ合金製の高機能性硬膜を接合させて、耐摩耗性を向上させると同時に、オールアルミ化によりエンジン材料のリサイクル性向上を図るものである。

○携帯型3次元計測カメラ 
 ストライプパターン化されたフラッシュ光源を使用し、空間コード化法を用いて、高速に3次元形状を撮影・計測する携帯可能な小型3次元計測カメラの研究開発を行う。並行して制御、応用ソフトウェアを種々開発し、市場性を高めていく。手軽に3次元形状を撮影できることから、医用、デザイン、メディア、認証、アミューズメント等での新たな利用が期待される。


This page updated on July 18, 2001

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