研究主題 |
1. | スピン超構造 |
2. | 不均一結晶 |
3. | ATPシステム |
4. | オーファン受容体 |
総括責任者 |
1. | 十倉 好紀 | 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授 産業技術総合研究所 強相関電子技術研究センター長 |
2. | 中村 修二 | カリフォルニア大学サンタバーバラ校材料物性工学部 教授 |
3. | 吉田 賢右 | 東京工業大学資源化学研究所生物資源部門 教授 |
4. | 柳沢 正史 | テキサス大学サウスウェスタン医学センター 教授 ハワードヒューズ医学研究所 研究員 |
評価結果 |
1. | 「スピン超構造」は、結晶格子の幾何学的性質と電子配置によって形成される電子のスピン秩序の乱れを、電子の量子力学的相互作用に起因する「量子位相」という自由度を活用しうる場として捉えるものである。原子レベルでのスピン構造の設計と物質作製技術の構築、量子位相発現の理論構築と実証、スピン超構造物質の磁気電子特性、磁気光学特性の探求など有機的かつ多面的に研究を展開することにより、スピン秩序をコントロールした超構造系における新しい固体物性という未踏の研究領域を開拓するものであり、将来の光スピントロニクスなど情報通信やナノテクノロジーの分野において革新的な技術の芽が生み出されるものと期待される。 十倉好紀氏は本研究主題に関連する先導的な研究を行って来ており、総括責任者として相応しいと認められる。 |
2. | 「不均一結晶]は、結晶中の微視的な不均一性を半導体デバイスに有用な特性を与えうる場として捉え、組成、構造、サイズなど様々な不均一性により発現される性質とその制御方法を探求するものである。不均一性の意図的制御や完全結晶成長に関する方法論の追求、新規デバイスの探索、不均一結晶がもたらす効果に関する理論構築など相補的かつ多面的に研究を展開することにより、結晶成長と物性研究に新しい研究領域を開拓するもので、電子デバイスや光デバイスなど情報通信の分野において革新的な技術の芽が生み出されるものと期待される。 中村修二氏は本研究主題に関連する先導的な研究を行って来ており、総括責任者として相応しいと認められる。 |
3. | 「ATPシステム」は、生命活動の基幹であるATPエネルギーの供給と利用及び制御を一連のシステムとして捉え、化学熱力学を考慮に入れつつ、その仕組みの詳細を分子の構造及び運動にまで踏み込んで探究するものである。 ATPの合成酵素の回転とATP合成反応の共役機構、ATPエネルギーを利用した回転する分子の探索、ATP合成の制御機構の探究、及びこれらの要素の再構成を有機的かつ多面的に行うことにより、生体エネルギーシステムの分子機構という新しい研究領域を開拓するもので、分子レベルの人工機械実現に向けたナノテクノロジーの重要な技術の芽が生み出されるものと期待される。 吉田賢右氏は本研究主題に関連する先導的な研究を行って来ており、総括責任者として相応しいと認められる。 |
4. | 「オーファン受容体」は、リガンドが判明していない受容体遺伝子を出発点として、新たな細胞間情報ネットワークを発見し、それらが生命活動において担う役割を探索するものである。受容体の特異的な活性を高感度で検出する手法の開発、未知のリガンドの探索とその同定、動物実験による機能解析など学際的かつ網羅的な研究を展開することにより、生体恒常性などを司る新たな研究領域を開拓するもので、新規創薬などの分野において革新的な技術の芽が生み出されることが期待される。また、今後のライフサイエンス分野における新しい研究方法のあり方を提示するものとなろう。 柳沢正史氏は本研究主題に関連する先導的な研究を行って来ており、総括責任者として相応しいと認められる。 |
評価者 |
新技術審議会 基礎研究部会 部会長 | 富山 朔太郎 |
新技術審議会 基礎研究部会 委員 | 阿部 博之、井上 祥平、岩渕 雅樹、小柳 義夫、 京極 好正、竹内 伸、 中村 桂子、西村 暹、 森 健一、柳田 博明 |
本件に関するお問い合わせ | 埼玉県川口市本町四丁目1−8 | |
科学技術振興事業団 | Tel: 048-226-5623 | |
戦略的創造事業本部 | Fax: 048-226-5654 | |
研究推進部 創造研究課 |
This page updated on April 24, 2001
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