「窒化ガリウム系短波長半導体レーザの製造技術」の開発に成功

科学技術振興事業団報　第157号

平成１３年４月１９日
埼玉県川口市本町４－１－８
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)

「窒化ガリウム系短波長半導体レーザの製造技術」の開発に成功

　科学技術振興事業団（理事長川崎　雅弘）は、名城大学理工学部材料機能工学科教授赤﨑勇氏および同大学助教授天野浩氏の研究成果である「窒化ガリウム系短波長半導体レーザの製造技術」を当事業団の委託開発制度の平成４年度課題として、平成5年3月から豊田合成株式会社（取締役社長堀篭登喜雄、本社　愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地、資本金約251億円）に委託して開発を進めていた（開発費約7億円）が、このほど本開発を成功と認定した。
　従来実用化されていた半導体レーザ光は、赤色から赤外域にわたる長波長領域(650nm～800nm)であり、この波長領域の半導体レーザの製造には砒化ガリウム(GaAs)系の材料が用いられている。一方、波長が400nm程度の短波長半導体レーザを発振させるためには窒化ガリウム(GaN)系材料の結晶が必要となる。ところが、従来技術ではこの材料の良質な結晶を得ることは困難であることから、短波長半導体レーザの実用化は困難であった。
　本新技術では、窒化ガリウム（GaN）系材料の元素を含む複数の有機金属化合物を、基板上で熱分解させ結晶成長させる手法を用いて、①高品質の多重量子井戸構造の作製、及び②独自の結晶成長技術により欠陥の極めて少ない良質のGaN系半導体結晶の開発に成功した。更に、③独自の光導波構造の開発により光閉じ込めを格段に向上させ、また④放熱性の優れた実装技術等の確立により短波長領域で安定連続発振が可能な半導体レーザを実現した。
　光記録媒体（光ディスク）への情報記録では、それに使うレーザの波長が短いほど焦点のスポット径を小さくできるため記録密度を飛躍的に向上させることができる。また波長が短く、エネルギーが高いことから将来はレーザ微細加工やレーザプリンタの高速化が可能である。さらに、植物栽培用光源、レーザライトショー、ホログラフィーや赤色レーザ等と組み合わせたカラーディスプレイへの応用も期待されている。

・「窒化ガリウム系短波長半導体レーザの製造技術」の開発に成功(背景・内容・効果)
・開発を終了した課題の評価

（注）

この発表についての問い合わせは以下の通りです。

科学技術振興事業団　開発部	管理課　田口正路、斉藤淳一【電話 03-5214-8996】
豊田合成株式会社	渉外・広報室室長　吉田　誠【電話 052-400-1055】

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