科学技術振興事業団報 第148号
平成12年10月12日
埼玉県川口本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「急速加熱粉末鍛造法によるアルミニウム合金部品の製造技術」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 川崎雅弘)は、(財)電気磁気材料研究所 所長 増本健氏および東北大学 金属材料研究所 所長 井上明久氏の研究成果である「急速加熱粉末鍛造法によるアルミニウム合金部品の製造技術」を当事業団の委託開発制度の平成6年度課題として、平成7年3月から平成12年3月にかけて住友電気工業株式会社 (社長 岡山紀男、本社 大阪市中央区北浜4-5-33、資本金約812億円)に委託して開発を進めていた(開発費約3億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 機械産業の分野では、高効率化や省エネ化が進められており、この方策の一つとして従来の鉄系部品をより軽量なアルミニウム系部品で置き換えることが検討されている。このためには高強度と高靱性が必要であるが、従来のアルミニウム合金では両者を同時に成り立たせることは成功しておらず、実用化についての課題となっていた。
 高強度と高靱性を両立させる方策の一つとして、金属を構成している結晶粒子を非常に微細にすることが考えられている。本新技術では、主原料であるアルミニウムに遷移金属、希土類金属およびジルコニウムを加え、これらの溶融合金から微細結晶粒子を有する合金粉末を作成した。そして固化形成する際に急速加熱することで組織の粗大化を防ぎ、金属の結晶粒子を従来のアルミニウム合金に比べ1/100〜1/1000と非常に小さくすることに成功したものである。これにより強度および靱性にすぐれたアルミニウム合金が製造できた。さらにこの合金は、昇温しても金属結晶構造が変化し難いため高温強度にも優れ、疲労強度にも良好な特性を示すことが分かった。このため、高強度と耐久性が要求される航空機など輸送用車両の部品や高速可動部品などへの利用が期待される。

「急速加熱粉末鍛造法によるアルミニウム合金部品の製造技術」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

(*)この発表についての問い合わせは以下の通りです。
    科学技術振興事業団 開発業務部 管理課長 草野 辰雄 
                  管理課  木曽原 直之【電話 03-5214-8996】

    住友電気工業株式会社 伊丹研究所 構造部品材料研究部
                  主任研究員 瀧川貴稔【電話0727-71-0606】

This page updated on October 12, 2000

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