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若手研究者研究推進事業


ねらい

 科学技術創造立国を目指す我が国にとって、独創的な基礎研究への期待はますます大きくなっています。世界的に一流の研究成果を上げた研究者の多くは、30歳代にその後の基盤となる研究を行っていますが、我が国においては、若手研究者のポテンシャルを活かす環境は十分とは言えません。
 従って、柔軟な発想を持つ若手研究者に活躍の場を与えることが科学技術の進展には必要なことと考えられます。
 本事業は、このような状況から、新しい研究分野や技術領域の開拓、また、科学技術創造立国を目指した知的資産の形成、新技術の創製に向けて、柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者に焦点をあて、独創性に富む研究提案を広く募集し、基礎的研究を推進するものです。

仕組み

 国の設定した重点研究分野の下、科学技術振興事業団が設定した研究領域毎に、独創的な研究課題を若手研究者(37歳以下又は博士号取得後10年以下の研究者)から募集し、領域総括が長となる委員会で選考します。採用された研究者は一定期間(原則3年間)事業団に所属(出向、兼任も可)し、研究を実施していただくことになります。若手研究者は、自らの研究構想を実現するため、1〜2名のポスドク、技術員等とともに研究グループを編成し、研究にあたります。事業団は若手研究者の要請により自らの研究費の範囲内で、ポスドク、技術員等を雇用します。

領域総括(委員長)

 研究領域内の個々の研究が推進するよう事業団は領域総括を指定します。領域総括は委員会の長として選考に当たるとともに、円滑な研究実施のための助言を行い、また、研究者の相談を受けるなど領域全体の運営にあたります。

研究期間

 研究期間は原則3年間です。

研究費

 研究費は1研究課題当り3年間で総額7〜8,000万円(ポスドク等の人件費を含む)です。

研究実施場所

 研究実施場所については、既存の施設を活用します。ただし、所属機関のない方には事業団が用意いたします。

研究成果

 研究成果については学会、シンポジウム等を通じて積極的に公表していただきます。また、工業所有権等については原則として研究者(発明者)と事業団との共有になります。


募集研究領域の概要

研究領域「協調と制御」(重点研究分野:情報化)
領域総括:沢田 康次(東北大学 電気通信研究所長)

 人間・社会・環境のそれぞれで生成されその間で伝達される情報の特徴抽出・モデル化、「協調」的情報処理(コミュニケーション)する様式とその「制御」、さらにそれを実現するための手法を研究します。
 例えば、インテリジェントなデバイスとシステム、ブレインコンピューティング、言語的・非言語的コミュニケーション、異種情報の統合シミュレーション、大量データの高速処理による意思決定支援システムの研究などを含みます。

研究領域「タイムシグナルと制御」(重点研究分野:高齢化)
領域総括:永井 克孝(三菱化学生命科学研究所 取締役所長

 生物は、自らが一旦遺伝子の内にセット(制御)したプログラムを、環境変化に応じてリセットすることにより、生命を維持しようとしている。こうした仕組みとその応用について研究するものです。高齢化への方策に向け、個体から細胞、ゲノム、分子に到る様々な階層的次元で生命を時間的存在として捉えようとする研究などを含みます。
 例えば、配偶子形成は成長から加齢に至るタイマーのリセット機構、幹細胞の存在や再生は個体レベルでのタイムプログラムのリセット機構であり、また老化はその機構の能力低下として理解できます。

研究領域「変換と制御」(重点研究分野:環境対応)
領域総括:合志 陽一(国立環境研究所 副所長)

 省資源、省エネルギー、さらには環境調和型の物質変換プロセスを目指すため、新規化学反応やエネルギーの創出、それらの利用効率の向上や制御などの研究を行います。
 例えば、錯体や反応触媒、反応プロセスや生成分子のデザイン、エネルギー変換、無害化の促進、計測制御技術の開発及びリサイクルの実現を目指した廃棄物の資源化などに関する研究を含みます。


This page updated on August 31, 2000

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