科学技術振興事業団報 第141号

平成12年7月13日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「超音速自由噴流による表面電離型検出器」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 川崎雅弘)は、国立環境研究所 化学環境部 上席研究官 計測技術研究室 室長 藤井敏博氏らの研究成果である「超音速自由噴流による表面電離型検出器」を当事業団の委託開発制度の平成7年度課題として、平成7年11月から平成11年11月にかけて株式会社島津製作所(代表取締役社長 矢嶋英敏、本社 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1、資本金 約168億円、電話:075-823-1111)に委託して開発を進めていた(開発費約6千万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 ガスクロマトグラフとは、何種類もの成分が混在している気体から、それぞれを分離・検出する装置であり、分離カラムを通過する各試料成分は移動速度の差により分離され、その各成分を検出器によって検出する。操作が簡便で、高分解能、高感度、再現性良好のため、生体試料中の成分確認、定量などに常用されている汎用機器である。
 本新技術は、ガスクロマトグラフにおいて、試料分子をイオン化し、それを電気的に検出する装置に関するものである。原理的には、充てんカラムによって分離された試料の各成分を加熱したノズルより真空中に噴出させ(超音速自由噴流)、高い運動エネルギーを与え、高温に保たれたレニウムなどの金属表面に衝突させて有機化合物をイオン化させ(表面電離)、イオン電流を測定することで試料分子を検出するものである。
 本新技術では、従来の表面電離検出器(SID)との比較において、より広範囲の有機化合物が高感度で検出可能となる装置であり、アミンなどへの選択性を活かし薬物動態の研究の他、環境分析などへの応用も期待される。

「超音速自由噴流による表面電離型検出器」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

図1.ガスクロマトグラフの概略図

図2.超音速自由噴流による表面電離の原理

図3.超音速自由噴流による表面電離型検出器の概観

(注)この発表についての問い合わせは以下の通りです。

科学技術振興事業団 開発業務部 管理課長 草野辰雄[電話(03) 5214-8996]
管理課 増渕 忍
株式会社島津製作所 分析機器事業部 永柳 衍[電話(03)3219-5706]

This page updated on July 13, 2000

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