科学技術振興事業団報 第137号

平成 12 年 6月 8日
埼玉県川口市本町4−1−8 
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「固体電解質型炭酸ガスセンサ」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 川崎雅弘)は、元 横浜国立大学 環境科学センター 教授 故田川博章氏および東北大学 科学計測研究所 教授 水崎純一郎氏らの研究成果である「固体電解質型炭酸ガスセンサ」を当事業団の委託開発制度の平成7年度課題として、平成8年3月から平成12年3月にかけて曙ブレーキ工業株式会社(代表取締役社長 信元久隆、本社 東京都中央区日本橋小網町19-5、資本金約90億円、電話:03-3668-5171)および株式会社曙ブレーキ中央技術研究所(代表取締役社長 木村俊彦、本社 埼玉県羽生市東5-4-71、資本金1億円、電話:048-560-1421)に委託して開発を進めていた(開発費約2億6千万円)が、このほど本開発を成功と認定した。

 大気中の炭酸ガス濃度の監視、室内や作業現場等の換気制御、あるいはハウス栽培や植物工場等において炭酸ガスセンサの必要性が高まってきている。これまで、炭酸ガス分子が赤外線を吸収する性質を利用した赤外吸収方式のセンサが市販されている。しかし、このガスセンサは、@一酸化炭素や一酸化窒素等の共存ガスの影響を除去する必要があるため装置が大きく高価である、A汚れや粉塵の影響を受けるため、頻繁な保守が必要である等の問題があった。
 本新技術による炭酸ガスセンサは、検知極(炭酸リチウム等)、リチウムイオン伝導体(結晶化ガラス等)および基準極(2種類のリチウムフェライト等)の三層構造からなるもので、検知極に炭酸ガスが接触することにより発生する起電力により炭酸ガス濃度の変化を決定できることを利用するものである。(図1
 また、本炭酸ガスセンサは、@小型に素子化することができる、A汚れや粉塵の影響が比較的小さいので保守が軽減される、さらにはB安価に製造が可能である等の特徴を有することから、室内、作業現場等の換気制御やハウス栽培における炭酸ガス濃度制御等に利用されるものと期待される。

「固体電解質型炭酸ガスセンサ」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

検出素子外観(写真1)

全体構成(制御・測定機)(写真2)

注)この発表についての問い合わせは以下の通りです。

  科学技術振興事業団 開発業務部 参事役兼管理課長 草野辰雄
                     管理課 田口正路
                    [電話(03) 5214-8996]
  株式会社曙ブレーキ中央技術研究所 主任研究員 江川 益博
                    [電話(048) 560-1421]

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