科学技術振興事業団報 第132号


平成12年3月30日
埼玉県川口本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「プラズマプロセスを用いた機能性無機・有機複合膜の形成技術」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 川崎雅弘)は、東洋大学工学部 教授 村山洋一氏、教授 柏木邦宏氏の研究成果である「プラズマプロセスを用いた機能性無機・有機複合膜の形成技術」を当事業団の委託開発制度の平成7年度課題として、平成7年11月から平成11年11月にかけて伊藤忠ファインケミカル株式会社 (社長 中西一之、本社 東京都千代田区平河町1丁目2番10号、資本金 3億円、電話03-3221-5061)に委託して開発を進めていた(開発費約3.6億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 カメラ・眼鏡レンズ、光ディスクなどの光学機器やディスプレーの反射防止のために光学薄膜は広く利用されている。このような薄膜の形成は、従来ではTiO2やSiO2などの無機材料を加熱・蒸発させてガラス表面などに蒸着させていた。しかし、この手法では、薄膜の緻密性や基盤への密着性が十分でないため耐久性に乏しく、光学特性に経時変化が生じる等の欠点があった。また薄膜材料も酸化物に限られており画一的な膜しか製作できないなどの課題が存在していた。
 本新技術は新たに有機材料(C2H4やCF4など)を従来の無機材料に加え、プラズマを用いることで化学的に活発なイオンや分子を発生させて無機材料と有機材料を複合化することに成功したものである。この結果、反射防止機能や光学フィルターなどの光学特性に優れた薄膜が、従来よりも容易にできることが明らかとなった。さらに膜層数を減らすこともできるため、コスト低減にもつながる可能性もあることもわかった。
 本新技術は、光ディスク装置などの光学機器における反射防止膜や光学フィルターへの適用が可能となる。また耐電特性も優れていることから、薄膜コンデンサーや薄膜センサーへの応用の可能性もある。 

「プラズマプロセスを用いた機能性無機・有機複合膜の形成技術」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

成膜装置写真(装置外観・装置内部)

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部 管理課長 草野 辰雄
管理課   木曽原 直之【電話 03-5214-8996】
伊藤忠ファインケミカル株式会社 技術企画室 室長代行 澤田 康夫【電話 03-3221-4738】

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