科学技術振興事業団報 第12号

平成9年3月3日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226−5606(総務部広報担当)

「炭そ病防除用微生物農薬」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、栃木県農業試験場(場長 栃木喜八郎)病理昆虫部主任研究員石川成寿氏らの研究成果である「炭そ病防除用微生物農薬」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 炭そ病は、植物の葉や茎、果実などに斑点を形成し、枯死させる病害であり、イチゴやリンゴ、モモ、スイカなどの果菜をはじめ約600種以上の炭そ病がある。特にグロメレラ シングラータを病原菌とするイチゴ炭そ病は、イチゴの生産を左右する重要病害であり、一度発生すると発病株や罹病残渣から、胞子が水滴とともに飛散し、防除がきわめて困難となる。本病の防除には、従来、ビテルタノール、プロピネブ、ジチアノンなどの化学薬剤が用いられている。しかし、これらの農薬は、治療用と予防用に区別されるため複数剤を交互使用しなければならない、残効期間が短いため散布回数が多くなるなどの難点があった。
 本新技術は、炭そ病に対して高い拮抗性を示すケトミウム属などの特定の常在糸状菌を苗に前接種することにより、炭そ病に対する抵抗力を高め、炭そ病を防除する微生物農薬に関するものである。本農薬は、従来の化学防除剤と比較して、防除効果が高い、長期間の防除効果が得られる、環境にやさしいなどの特徴を有し、イチゴ等の炭そ病の効率的な省力防除への適用が期待される。
 本新技術の開発は、出光興産株式会社(代表取締役社長 出光裕治、本社 東京都千代田区丸の内3丁目1番1号 、資本金10億円、電話03-3213-3115)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は2.6億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「炭そ病防除用微生物農薬」(背景・内容・効果)

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