科学技術振興事業団報 第105号


平成11年4月15日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「夜尿症の治療装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、明治鍼灸大学教授(前 京都府立医科大学泌尿器科学教室教授) 渡邉ひろき泱氏らの研究成果である「夜尿症の治療装置」を当事業団の委託開発制度の平成6年度課題として、平成7年3月から平成11年1月にかけて神田通信工業株式会社(代表取締役社長 河合俊彦、本社 東京都品川区西五反田2-23-2、資本金 約23億円、電話:03-3490-2231)に委託して開発を進めていた(開発費約2億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 夜間睡眠中に不随意に排尿を行ってしまう夜尿症は、小児のみならず成人にも認められる疾患であり、とりわけ、小児においては、もっとも頻度の高い疾患の一つである。夜尿症は、睡眠の異常と排尿の異常が原因となっていると考えられており、従来、その治療は、抗利尿ホルモン剤等の薬剤の投与や夜尿後に尿を検知して警告音で知られる方法などにより行われているが、必ずしも満足すべき治療効果が得られていなかった。
 本研究者は、これまで独立に研究されることが多かった睡眠機構と排尿機構に関する研究を体系的に関連づけて行い、夜尿症が3つの型に分類されることを初めて明らかにした。本新技術は、この病型分類の知見に基づき夜尿症の効果的な治療を行うもので、健常者と同様に膀胱に尿がたまると脳波上覚醒反応が出現するが、実際には覚醒せず浅い睡眠状態で夜尿をしてしまうタイプの患者が治療対象となる。
 本新技術は、脳波計による睡眠深度の測定と超音波による膀胱容量の測定を併用して行い、膀胱に尿が充満、かつ、睡眠が急激に浅くなった時点で警告音を発することにより患者の学習を促す条件付けにより、夜尿症の治療を行う装置に関するものである。本新技術は、排尿前に患者に警告するものであり、対象となる患者にとって負担が少なく、病院での治療のほか、医師の指導により在宅での治療への応用も可能となるなどの特徴を有する。

「夜尿症の治療装置」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

夜尿症の治療装置の概観(図1)

夜尿症の治療装置の使用図(図2)

夜尿症の治療装置の動作概要(図3)

※この発表についての問い合わせは以下のとおりです。

科学技術振興事業団 開発業務部 管理課長 草野辰雄[電話(03)5214-8996]
開発業務部 管理課 増渕 忍
神田通信工業株式会社 産業機器営業部 営業課長 岩谷政隆[電話(03)3490-2226]

This page updated on April 22, 1999

Copyright© 1999 JapanScienceandTechnology Corporation.

www-pr@jst.go.jp