新技術事業団報 第695号

平成8年7月4日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「非晶質アルミニウム合金(高強度)の製造技術」の開発に成功

 新技術事業団(理事長 松平 寛通)は、財団法人電気磁気材料研究所 所長(元東北大学金属材料研究所 教授)増本 健氏、東北大学金属材料研究所 教授 井上明久氏の研究成果である「非晶質アルミニウム合金(高強度)の製造技術」を当事業団の委託開発課題の平成3年度課題として平成4年2月から平成8年2月にかけてYKK株式会社(社長吉田 忠裕、本社 東京都千代田区神田和泉町1、電話 (03)3864-2000、資本金56億円)に委託して開発を進めていた(開発費約900百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 航空機、自動車、ロボットの機械部材や構造部材等の軽量化を目的に、高強度軽合金の開発が盛んに行われている。しかしながら、従来の軽合金製造技術では内部組織が粗いため、強度を向上させることが難しかった。
 本新技術は、アルミニウムに希土類元素(注1)や遷移金属元素(注2)を添加して結晶化しにくい合金組成とし、これを溶融して、高圧の不活性ガスにより容器内に噴霧、急冷凝固させ(液体噴霧法)、ミクロンオーダーの非晶質アルミニウム合金粉末を得た後、結晶化温度近傍で温間加工して、機械的強度に優れたナノ結晶の合金を製造するものである。
 本新技術によるアルミニウム合金は、常温下で高強度アルミニウム合金として知られている超々ジュラルミンの1.6倍以上の強度を持つとともに、200℃の高温においても耐熱アルミニウム合金を上回る強度を持つことから、軽量化や耐熱性が要求される機械部材や構造部材等に広く利用されることが期待される。

「非晶質アルミニウム合金(高強度)の製造技術」(背景・内容・効果)

写真 本合金による機械部品

         
(*) 本新技術についての問い合わせは以下のとおりです。
新技術事業団管理部管理課長 内野裕雄
管理課中田一隆 [電話(03)5214-8996]
YKK株式会社研究開発本部
研究企画室白瀬哲夫 [電話(03)3581-8491]


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