新技術事業団報 第694号

平成8年7月1日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「ラジカル制御によるプラズマエッチング装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、名古屋大学工学研究科量子工学専攻教授 後藤俊夫氏の研究成果である「ラジカル制御によるプラズマエッチング装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 半導体産業においては、メモリ素子の大容量化などを目的として、更なる半導体素子の高集積化が求められている。高効率で大面積の微細加工を行う技術としてArなどの不活性ガスおよびCF4などのフルオロカーボンガスをプラズマ化し、得られるArイオン(半導体材料を削る働きをする)を利用するプラズマエッチングが利用されている。プラズマエッチングの加工精度を更に向上させるにはプラズマ中のイオン密度だけでなく、半導体材料を保護する働きのあるCFx(X=1〜3)ラジカルの密度も制御する必要があるが、従来は、ラジカルの密度を測定する方法およびプラズマ中のラジカル密度を精度良く制御する方法がなかった。
 本新技術は、プラズマエッチングにおいて、プラズマに特定波長の赤外線レーザを照射し、ラジカルの吸収によるレーザ光の強度変化からラジカル密度を計測するとともに、プラズマ発生用高周波電力を一定の周期でパルス変調し、変調のオン・オフ比を変化させることにより、プラズマ中のラジカルの密度等を制御することで超微細加工を行う装置に関するものである。
 本装置は、プラズマ中のラジカルの密度、組成の制御が可能であるなどの特徴を有することから、シリコンと酸化シリコンなど複数の材料から構成される半導体材料の選択加工や超微細加工が可能となると期待される。
 本新技術の開発は、東京エレクトロン山梨株式会社(社長井上準一、本社山梨県韮崎市藤井町北下条2381-1、電話0551-22-8611)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は12億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「ラジカル制御によるプラズマエッチング装置」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5617 野田、出村までご連絡下さい。


This page updated on April 14, 1999

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