新技術事業団報 第690号

平成8年6月6日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5609(企画調査室)

「熱可塑性ポリイミドの製造技術」の開発に成功

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、元東京工業大学工学部教授 今井淑夫氏らの研究成果である「熱可塑性ポリイミドの製造技術」を委託開発制度の平成元年課題として平成2年3月から平成8年3月にかけて、新日本理化株式会社(社長藤田淳、本社大阪府大阪市中央区備後町2丁目1番8号電話06(203)3961 資本金56億6千万円)に委託して開発を進めてきた(開発費8億74百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。

 プラスチックの中で最高の耐熱性と機械強度を有するポリイミドは、成形加工して複写機の軸受けや自動車のタイヤホイール等の構造材に、またフィルムにしてOA機器用のフレキシブルプリント基板、電線の絶縁被覆材等に広く使用されている。しかし、従来のポリイミドは熱可塑性(加熱により化学変化せず柔らかくなる性質)を持たないため射出成形や押出成形ができず、主として粉末焼結法で成形され非常に高価なものとなっていた。
 本新技術は、ポリイミドの原料として新たに工業化に成功したDSDA(ジフェニルスルホンテトラカルボン酸)を用いたことにより、耐熱性や機械強度に加え、成形加工性と有機溶媒溶解性にも優れたポリイミドを安価に製造できるようにしたものである。
 本ポリイミドは、射出成形や押出成形等の加工ができ、また、有機溶媒に溶かして使用できるため、電子部品や機械部品、電線被覆材、耐熱繊維等種々の加工を要求される分野で広く利用されると期待される。

「熱可塑性ポリイミドの製造技術」(背景・内容・効果)

「熱可塑性ポリイミドの製造技術」(図)

本新技術によるポリイミドの射出成型品と有機溶媒に溶解させたワニス

(*) この発表についてのお問い合わせは電話(048)226-5625 内野、大塚までご連絡ください。
   (企業連絡先)新日本理化(株)機能材事業部 寺澤 (電話06-203-3961)


This page updated on April 14, 1999

Copyright© 1999 JapanScienceandTechnologyCorporation.

www-pr@jst.go.jp