新技術事業団報 第681号

平成8年2月15日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「ハイドロゲル剤型創傷被覆材」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、日本原子力研究所高崎研究所吉井文男氏らの研究成果である「ハイドロゲル剤型創傷被覆材」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 創傷被覆材は、褥瘡や皮膚潰瘍、火傷等の創傷面を保護しつつ創傷面からの滲出液を吸収し、表皮細胞の移動を促進する湿潤環境を形成して自然治癒を促進する目的で使用されている。従来、ハイドロコロイド粒子を凝集させたハイドロコロイド剤型の創傷被覆材が主に市販されている。しかし、この創傷被覆材は(1)粒子間が架橋されず分散しているため、剥がす際に創傷面に被覆材が残留しやすい、(2)透明性がなく、治療観察をするには剥がさなければならない等、改良の要望も多かった。
 本新技術は、ポリビニルアルコールに熱による部分結晶化処理と電子線照射による高分子鎖間の架橋形成を行うことにより、煮沸等滅菌操作に耐えうる耐熱性や機械的強度を有し透明性に優れたハイドロゲルを作製し、これより構成される創傷被覆材を製造するものである。
 本新技術により得られる創傷被覆材は、(1)架橋剤を使用しないため、皮膚に対する安全性に優れる、(2)剥がす際に創傷面に残留せず創傷にやさしい、(3)透明性に優れ、剥さずに直接治療観察が可能となる等の特徴を有し、褥瘡や皮膚潰瘍、火傷等の治療に利用されるものと期待される。本新技術の開発は、ニチバン株式会社(社長 高綱基裕、本社 東京都文京区関口2-3-3、資本金54億円、電話03-5978-5601)に委託する予定で、開発期間は3年6ヵ月、委託開発費は3.7億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「ハイドロゲル剤型創傷被覆材」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5616 野田、小泉までご連絡下さい。


This page updated on April 23, 1999

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