新技術事業団報 第679号

平成8年7月2日8日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「接触圧制御型面作業ロボット」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、東京工業大学教授 狼嘉彰氏、同助教授 香川利春氏の研究成果である「接触圧制御型面作業ロボット」を委託開発課題として選定するとともに 開発企業を選定した。
 水タンクのパネル板などに用いられている繊維強化プラスチック(FRP)製品は液状樹脂とガラス繊維を同時に型枠に吹き付けた後、ローラーにより表面をならして内在する気泡を抜きつつ成形する脱泡作業を経て、乾燥・硬化し、製造されている。この脱泡作業は、現在、人の手作業に頼っているが、 有機溶剤を使用する作業環境下であることなどから、人が作業するには負担が大きく、ロボットによる自動化への要請が強い。
 本新技術は予測的な制御技術と高速作動空気圧アクチュエータ(図参照)により、FRP脱泡作業などの面作業を行うロボットを実現しようとするものである。脱泡作業などの表面をならす作業は、凹凸があり粘性などの状態が序々に変化していく面に対して、常に適切な接触圧(押しつける力)で作業を行い、 ムラやローラーのめり込みなどが生じないようにする必要がある。従来のロボット技術では適切な接触圧を判断して、発生させるまでに時間がかかり、その間に面形状や表面状態が変わるためムラなどが生じる。本新技術では作業の過程においてロボットハンドに発生する加速度の情報をもとに、 その先の面形状や表面状態を予測し、適正な接触圧の指令を与える。また、高速作動空気圧アクチュエータにより、この指令に基づいた接触圧を時間的に遅れることなく発生させる。研究者らは空気の圧縮による遅れを補償する手法を見いだし、これまでにない高速で動作できるアクチュエータを実現した。本新技術により、凹凸の大きい面や時間的に粘性などの状態が変化する面に対しても短い時間のうちに人の手作業に優る仕上がりで作業を行うことができるロボットが実現し、FRP脱泡作業の自動化が期 待される。また、生コンクリート表面ならし作業の自動化など広い分野への応用が期待される。
 本新技術の開発は、ヒラタ協業組合(代表理事 小山哲郎、本社 大阪府東大阪市稲田新町三丁目8番58号、出資金 5,000万円、電話 06-745-0011)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は約2.5億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「接触圧制御型面作業ロボット」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5615 小原または小林までご連絡下さい。


This page updated on April 23, 1999

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