新技術事業団報 第678号

平成8年7月1日25日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「オレフィン系ブロックコポリマーの製造技術」を委託 開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、北陸先端科学技術大学院大学 教授 寺野 稔氏の研究成果である「オレフィン系ブロックコポリマーの製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 ポリプロピレンなどのポリオレフィンは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性および成形加工性などに優れ、かつ安価であるため、汎用プラスチックとして日用雑貨、シートなどに用いられ、大量に生産・消費されている。また、塩素などを含まないので、リサイクルしやすいため、耐衝撃性に優れたゴムの一種であるエチレン−プロピレンコポリマーなどを混合(ブレンド)して、耐衝撃性などの特性を改善し、自動車部品、家電製品などの耐久消費財の構造材への利用が進んでいる。しかし、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンコポリマーは、本来混じり合いにくいため、ポリプロピレンに比べ透明性や光沢が低下し、衝撃を受けた際に白化しやすく、表面構造が荒れるなどの問題があった。
 本新技術は、プロピレンとエチレンを原料とし、チタン系触媒などを用いて、反応物をパイプ中に流しながら短時間で重合することにより、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンコポリマーとが化学結合した新規ブロックコポリマーを製造するものである。本ポリマーは、耐衝撃性などに優れ、オレフィン系のポリマーどうしを混じりやすくする性質(相溶性)を持ち、耐衝撃性プラスチック、高分子相溶化剤などへの利用が期待される。また、本ポリマーは、塩素などを含んでいないため、廃棄物処理、再資源化の際の取り扱いが容易な材料としても期待される。
 本新技術の開発は、チッソ石油化学株式会社(社長 岡本 彬、本社 東京都千代田区丸の内2-7-3 電話03-3284-8411)に委託する予定で、開発期間は4年、委託開発費は11億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「オレフィン系ブロックコポリマーの製造技術」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5617 野田、林までご連絡下さい。


This page updated on April 23, 1999

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