新技術事業団報 第673号

平成7年12月19日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「超音速自由噴流による表面電離型検出器」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、環境庁国立環境研究所 化学環境部 計測技術研究室 室長 藤井敏博氏らの研究成果である「超音速自由噴流による表面電離型検出器」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 大気や河川などの環境の汚染の度合いを調べるのにガスクロマトグラフやガスクロマトグラフ質量分析計がよく使われているが、一般的に環境中に存在する化学物質の濃度は非常に低く、化学物質の検出感度のさらに優れたガスクロマトグラフやガスクロマトグラフ質量分析計の出現が望まれている。
 ガスクロマトグラフとは何種類もの成分が混在している気体から、それぞれを分離し検出するものであり、各成分を分離するカラムと呼ばれる部分とそれを検出する検出器から構成される。本新技術はガスクロマトグラフや、ガスクロマトグラフのあとに質量分析計を付けたガスクロマトグラフ質量分析計用の検出器に関するもので非常に高い検出感度を実現する。原理的には、小さな穴のあいたノズルより試料分子を真空中に噴出させた(超音速自由噴流)のち、白金などの固体表面に衝突させてイオン化し(表面電離)、イオン電流を測定することで試料分子を検出するものである。本新技術では、有機化合物全般に対し高いイオン化効率が得られるため、汎用性の高い超高感度測定が可能となる。
 本新技術による表面電離型検出器は、環境中に存在する微量な化学物質の測定のほかに、血液や体液中の薬物モニタリングなどへの利用が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社島津製作所(取締役社長 藤原菊男、本社 京都市中京区西ノ京桑原町1番地、資本金 168億円、電話 075-823-1111)に委託する予定で、開発期間は4年、委託開発費は約2.0億円の予定である。

「超音速自由噴流による表面電離型検出器」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5615 小原または加藤までご連絡下さい。


This page updated on April 30, 1999

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