新技術事業団報 第672号

平成7年12月19日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「微生物由来凝集剤の製造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、通商産業省 工業技術院 生命工学工業技術研究所 微生物機能部長 倉根 隆一郎氏の研究成果である「微生物由来凝集剤の製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 工場排水に含まれる色素等は、通常の排水処理方法では、除去することが難しく、その多くは排水処理後、大量の水で薄めて河川等に放流されていた。近年、工場排水の着色度についても規制する自治体が出始め、これに対応するために、凝集剤(高分子凝集剤、無機凝集剤、高分子イオン吸着剤)などを用いて色素等を凝集・回収し、焼却処分することが始められている。しかし、これまでの凝集剤は、(1)高分子を素材とするものが多く残留すると、環境を悪化させる恐れがある、(2)一度に多種類の色素を凝集することが難しく様々な凝集剤を組み合わせる必要があるため処理が複雑になったりコスト高になる等の問題があった。
 本新技術は、土壌微生物の一種であるロードコッカス・エリスロポレス属の菌が産生する色素等の凝集効果を有する物質を利用して環境を悪化させない、経済性の高い凝集剤を製造するものである。
 本新技術による凝集剤は(1)土壌微生物由来であるため環境を悪化させる恐れが少ない、(2)様々な色素等を含む排水に適用することが可能、簡単な操作で凝集ができその効果が高いなどの特徴を有し、染料(反応性色素)排水の脱色、食品廃液等の処理に利用されるものと期待される。
 本新技術の開発は、伯東株式会社(社長 高山成雄、本社 東京都新宿区新宿1-1-13、電話03-3225-9001)に委託する予定で、開発期間は5年、委託開発費は10億円の予定である。

「微生物由来凝集剤の製造技術」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5617 野田、岩本までご連絡下さい。


This page updated on April 30, 1999

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