新技術事業団報 第652号

平成7年2月16日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「薄膜流下式蒸発による無放流汚水処理システム」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、京都大学木質科学研究所教授 桑原正章氏らの研究成果である「薄膜流下式蒸発による無放流汚水処理システム」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 生活環境を保全するため、河川、湖沼、海などの水質の環境基準が定められているが、これらの水質の環境基準の達成率は低い水準で推移している。さらに地下水については、有機溶剤などの有害物質が検出される例が依然として存在している。このような状況のもと、各自治体などで環境汚染物質の総量規制強化や汚水処理施設の整備が進んでいる。
 本新技術は、廃棄物最終処分場からしみ出てくる汚水(浸出水)や食品・化学工場などで発生する廃液などを固形物を除去した後、加熱して水分を蒸発させて凝縮水を得、これに含まれる揮発性有機物などを微生物によって分解除去して再利用可能な水質にするものである。
 本システムは、汚染濃度が高く、水質が大幅変動する汚水に対して、安定した汚水処理が可能で、かつ、薬品などの使用量が少なく、システムの維持管理が容易となるなどの特徴があり、廃棄物最終処分場から出る浸出水や工場廃液などの汚水処理に広く利用されることが期待される。
 本新技術の開発は、株式会社荏原製作所(社長 藤村宏幸、本社 東京都大田区羽田旭町11番1号、資本金257億円、電話03-3743-6111)に委託する予定で、開発期間は4年、委託開発費は12億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「薄膜流下式蒸発による無放流汚水処理システム」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5614 藤川、久保までご連絡下さい。


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