新技術事業団報 第651号

平成7年2月16日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「Co基合金の連続鋳造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、千葉工業大学教授 大野篤美氏らの研究成果である 「Co基合金の連続鋳造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 一般にステライトと総称されているCo基合金(コバルトを主成分とする合金)は耐熱性、耐酸化性および耐磨耗性に優れているため、カッター類や高温下で使用するレールなどに広く利用されているが、その反面、塑性加工などが困難な難加工材料としても知られている。これまではCo基合金をプレスなどで直接、有用な形状に加工することができず、Co基合金を溶接により母材の上に厚く盛り、研削して所望の形状に整える加工法が多く用いられている。しかしながら、この加工法は多くの工程を要するなどの問題があった。
 本新技術は、Co基合金の溶湯(溶融液)を凝固温度以上に加熱保持した鋳型に供給し、鋳型出口において溶湯を冷却することによりCo基合金を連続的に鋳造するものである。従来の一般的な連続鋳造法は、溶湯を鋳型内で冷却・凝固させるものであるが、この方法では凝固は鋳型内壁から進行していくため、溶湯の流動阻害が生じる、鋳型と凝固した合金との間に摩擦がある、などの理由から、ある程度太い円形断面のものに限られ、しかも、製品の内部が中空になるなど品質的にも問題がある。これに対し、本新技術では鋳型を合金の凝固温度以上に加熱保持し、鋳型出口において冷却するため、凝固は中心部より進行し、鋳型と合金鋳塊()の間に摩擦が生じないため、直径2mm以下の細線や三角棒材、四角棒材などを鋳造することが可能となる。また、得られたCo基合金鋳塊は空洞などの鋳造欠陥を内在しないなど高品質である。このため、金属加工など高温下で使用するレールや樹脂などを熱切断するカッターの刃先などに広く利用が期待される。
 本新技術の開発は、大阪富士工業株式会社(社長 大島市郎、本社 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号、資本金 9,200万円、電話 06-487-1865)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は約1.5億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「Co基合金の連続鋳造技術」(背景・内容・効果)

従来技術と新技術の原理(図1)

新技術で試験的に鋳造したCo基合金の異形断面鋳塊(図2)



(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5615 小林または藤川までご連絡下さい。


This page updated on May 6, 1999

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