新技術事業団報 第650号

平成7年2月15日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド」
を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、名古屋大学工学部教授 松井正顯氏らの研究成果である「ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 近年、マルチメディアの出現により情報処理機器の大容量化が一段と進み、パーソナル・コンピュータなどで用いられるハードディスクについても高密度記録化が要求されている。ハードディスクは、現在、磨耗や振動対策のため、磁気ディスクから磁気ヘッドを浮上させて記録・再生を行う方式が用いられているが、記録密度は磁気ヘッドの浮上量が大きくなるに従い減少するため、浮上させずに記録・再生を行う接触型の磁気ヘッドの開発が望まれている。このような要請から、これまで超薄型・軽量の薄膜ヘッドチップ(注1)を弾性をもった薄い板(サスペンション)に接合した構造のものが提案されてきたが、高精度の接合技術が確立されていないため実用化には至っていない。
 このような構造の接触型磁気ヘッドにおいては、薄膜ヘッドチップとサスペンションとの接合技術が磁気ヘッド全体の性能を支配する。本新技術は薄膜ヘッドチップおよびサスペンションに各々金を薄くつけ、さらに薄膜ヘッドチップとサスペンションにつけた金同士を超音波を用いて接合することで、両者の高精度接合を可能とするものである。本方法では、精密に位置決めした状態を保持したまま接合できるなど高精度に接合ができ、また、室温での接合であるため熱による磁気ヘッドの歪みなどの問題がない。本新技術により磁気ヘッドの高精度化が可能となることから、世界で初めての接触型磁気ヘッドの開発に見通しを得た。このため記録密度の向上が実現され、パーソナル・コンピュータなど各種ハードディスク用磁気ヘッドに広く利用されることが期待される。
 本新技術の開発は、大同特殊鋼株式会社(社長 富田寛治、本社 愛知県名古屋市中区錦1丁目11番18号、資本金 359億円、電話 052-201-5111)に委託する予定で、開発期間は2年、委託開発費は約4.3億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド(背景・内容・効果)

本新技術により開発する磁気ヘッドの構造

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5615 小林または藤川までご連絡下さい。


This page updated on May 13, 1999

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