新技術事業団報 第649号

平成7年2月15日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「最大値記憶型変位センサ」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、東京大学工学部教授 柳田博明氏らの研究成果である「最大値記憶型変位センサ」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 建築物や橋梁などの構造物の安全性評価や維持保全には、構造物の異常な変形を検知することが重要である。従来、構造物の変形量を把握するために、歪みゲージ(注1)を構造物に貼り付けるなどの方法が取られてきた。しかし、許容範囲を越える変形が生じていないことを確認するには、常時監視するか、または瞬間的な変形を記憶(記録)することが必要であり、システムが複雑化するという問題点があった。
 本新技術は、力を受けて変形した構造物の変位(注2)の最大値を検出し記憶するセンサに関し、炭素繊維など適当な電気抵抗をもつ線をあらかじめ設定した変位に対応させて複数用意するとともに、構造物の変位に連動してこの線を切断する適当な機構を設け、構造物が変形した場合にセンサ取り付け点の変位に対応した線が破断することにより、所定の変位が生じたことを検出・記憶できるようにしたものである(図1)。読み取りは電気抵抗の測定または目視によって行うことができる。
 本新技術のセンサは、構造や動作原理が単純で、広い測定レンジに対応でき、建築物などの構造物の最大変位を自ら記憶するなどの特徴を有するため、構造物の安全評価や維持保全に利用が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社 長野計器製作所(社長 宮下 茂、 本社 東京都大田区東馬込1丁目30番4号、資本金2億円、電話0268-42-7540(丸子電子機器工場))に委託する予定で、開発期間は2年、委託開発費は1.5億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「最大値記憶型変位センサ」(背景・内容・効果)

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5616 本田、天野までご連絡下さい。


This page updated on May 14, 1999

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