新技術事業団報 第648号

平成7年2月9日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「夜尿症の治療装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、京都府立医科大学泌尿器科学教室教授 渡邉 泱(わたなべ ひろき)氏らの研究成果である「夜尿症の治療装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 夜尿症は、夜間睡眠中に不随意的に排尿を行うもので、小児のみならず成人にも認められる疾患である。とりわけ、小児においては十数%にみられ、最も頻度の高い疾患の一つである。夜尿症は、睡眠の異常と排尿の異常が原因となっていると考えられており、従来、その治療は、抗うつ剤の投与や夜尿後に尿を検知し警告音で知らせる方法などにより行われているが、必ずしも満足すべき治療効果が得られていなかった。
 本研究者は、これまで独立に研究されることが多かった睡眠機構と排尿機構に関する研究を体系的に関連付けて行い、夜尿症患者が3つの型に分類されることを初めて明らかにした。本新技術は、この病型分類の知見に基づき夜尿症の効果的な治療を目指すものであり、膀胱機能は正常であるが正常人に比べて軽い覚醒機能障害を有する夜尿症患者が治療対象となる。
 本新技術は、脳波計を用いて睡眠深度を測定するとともに超音波を用いて膀胱充満度の測定を行い、膀胱に尿が充満するのにともない睡眠が急激に浅くなった時点で患者本人に知らせて学習を促す条件付けにより夜尿症の治療を行うものである。本新技術は、排尿前に患者に警告するものであり、対象となる患者にとって負担が少なく、病院での治療のほか医師の指導により在宅での治療も可能などの特徴を有することから、夜尿症の治療、夜尿症・尿失禁の研究などに利用が期待される。
 本新技術の開発は、神田通信工業株式会社(社長 太田健一郎、本社 東京都品川区西五反田二丁目23番2号、資本金22億9,275万円、電話 03-3490-2231)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は約3億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「夜尿症の治療装置」(背景・内容・効果)

装置ブロック図

(*) この発表についての問い合わせは、電話048(226)5616 本田、島田までご連絡下さい。

This page updated on May 14, 1999

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