JST(理事長 中村 道治)理数学習支援センター(センター長 有馬 朗人)は、中学校段階での理科教育の改善や充実を促すとともに、将来の科学技術を牽引する人材の育成を支援する施策の立案に資するため、平成25年3月に、全国の公立中学校および中等教育学校417校で理科主任および理科の授業を担当する1,229名の理科教員と13,430名の第2学年の生徒を対象に、アンケートによる全国調査を実施しました(前回は平成20年7月に実施注1))。
この調査は、中学校の理科教育について、(1)中学生が理科学習にどの程度の意欲や目的意識を持ってその能力を伸長させているのか、(2)学校や学校外でどのような学習環境や学習機会を提供されているのか、(3)学校の実験設備を含めた教育環境、理科教員の意識や観察・実験の指導状況などを把握し、理科教育の充実、科学技術を牽引する人材の育成の支援策立案に役立てることを目的として実施しました。主な結果は以下の通りです。
【学校調査項目の主な結果(抜粋)】
- ○ 設備備品・消耗品費については、平成20年度の調査と比較して大きな差が見られませんでした。
- ○「科学部が学校にない」と回答した学校の割合が高くなっていました。(平成24年度:73%、平成20年度:66%)また、学校に科学部を設置する場合に障害となる事項として、最も高かった項目が「顧問となる教員の不足」(69%)でした。
【教員調査項目の主な結果(抜粋)】
- ○ 観察や実験の頻度について「週1回以上」行っていると回答した理科教員の割合は、平成20年度と比較して低くなっています。(平成24年度:55% 平成20年度:63%)また、教職経験年数が5年未満の理科教員で最も低く、49%でした。
- ○各領域の指導の得意・苦手科目について、「得意」「やや得意」と肯定的に回答した理科教員の割合は、「化学」が86%と最も高く、「生物」72%、「物理」68%、「地学」57%、「情報通信技術の活用」50%で、平成20年度とほぼ同様の傾向でした。
- ○理科の授業について、「学習内容と職業との関連についてよく説明している」に対して、肯定的に回答した割合は46%で、平成20年度調査の34%と比較して12ポイント高くなりました。また、「学習内容が日常の問題に応用できることをよく教えている」に対して、肯定的に回答した割合は74%で、平成20年度調査の66%と比較して8ポイント高くなっています。
- ○参加してみたい研修について、肯定的に回答した理科教員の割合が7割を超えた項目は以下の3つであり、「とてもそう思う」と回答した割合は、教職経験年数が短い理科教員ほど高くなっています。
「最先端科学技術についての研修」(肯定的に回答した割合:81%)
「学習内容と日常生活との関連についての研修」(肯定的に回答した割合:75%)
「新奇性のある観察や実験についての研修」(肯定的に回答した割合:75%)
【生徒質問項目の主な結果(抜粋)】
- ○生徒の科学技術に対する興味関心について、「科学に関する研究機関の施設を見学したり研究の体験をしてみたい」に対して肯定的に回答した割合は56%でした。
- ○理科に対する価値・重要度についての質問項目で、「理科を勉強すれば私の好きな仕事に役立つ」に対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と肯定的に回答した割合は28%で、平成15年度実施の調査注2)の34%と比較して低くなっています。
- ○「理科の自由研究をしたことがある」と回答した割合は、77%で、平成16年度実施の調査注3)の70%と比較して高くなっており、小学校4学年以上では4~5割の生徒が自由研究を行っていました。
- ○科学部について、中学校で科学部に所属している生徒は1%であり、科学部に入部しなかった理由について、「科学部がないから」と回答した生徒の割合は、59%でした。
- ○普段の生活に関する質問項目で、「普段の生活が忙しいと感じているか」に対して肯定的に回答した生徒の割合は73%でした。また、学校の部活動が週に6日または7日と回答した生徒の割合は63%でした。
以下に調査の目的と集計概要を記します。また、集計結果(抜粋)は別紙を参照してください。集計結果は、下記のアドレスからダウンロードできます。
集計結果ダウンロードURL:
https://www.jst.go.jp/cpse/risushien/secondary/cpse_report_016.pdf