JST(理事長 中村 道治)は、スイス連邦工科大学 チューリッヒ校(ETHZ)注1)と共同で「高齢化社会のための医学」に関する3件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-スイス研究交流」注3)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「在宅での日常生活動作支援・治療を目的とする脳インターフェイスを応用した手指ロボット装具」
(研究代表者:九州大学 先端医療イノベーションセンター 荒田 純平 准教授、スイス連邦工科大学 チューリッヒ校 ガサート・ロジェ 教授)
本研究交流は、柔軟ロボット技術と脳インターフェイス技術を活用し、手指の不自由な患者や高齢者のための小型・軽量なウェアラブル手指ロボット装具開発を目指すものです。
(2)「筋肉減少症、骨粗鬆症、変形性関節症の包括的評価システムの構築」
(研究代表者:大阪大学 大学院医学系研究科 高尾 正樹 助教、ベルン大学 外科技術・生体力学研究所 ジェン・グーヤン グループリーダー)
本研究交流は、高齢者の歩行能力の低下や転倒のリスクを簡便に評価するため、両国の高度画像解析技術を統合することにより、2次元X線画像から3次元筋骨格モデルを構築し、患者の骨、関節、筋肉の状態を包括的、定量的に評価するシステムを構築することを目指すものです。
(3)「細胞競合を利用した革新的がん予防法の確立-超早期がんの診断と除去を目指して-」
(研究代表者:北海道大学 遺伝子病制御研究所 藤田 恭之 教授、ベルン大学 細胞生物学研究所 モレノ・エドュアルド 教授)
本研究交流は、正常上皮細胞と変異細胞の細胞間で起こる細胞競合を利用した革新的がん予防法の確立を目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では11件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびスイス側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJST、ETHZが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とスイスがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。日本側は平成25年8月以降に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。