JST(理事長 中村 道治)は、 フィンランドアカデミー(AF)注1)およびフィンランド技術庁(Tekes)注2)と共同で「メディカルサイエンス」分野の中の「メディカルICT機器の応用」に関する課題の募集および審査を行い、以下の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注3)「日本-フィンランド研究交流」注4)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「高信頼ボディエリアネットワークによるディペンダブル無線医療ネットワークの研究開発」
(研究代表者:横浜国立大学 大学院工学研究院 河野 隆二 教授、オウル大学 ワイヤレスコミュニケーションセンター ヤリ・イーナッティ 教授)
本研究交流は、人体や体内に取り付けたセンサーから生体情報などを無線で収集するための低消費電力、高信頼性な無線医療ネットワークの研究開発とその臨床応用を目指すものです。
(2)「全身臓器における組織潅流定量イメージング法の確立とその臨床評価」
(研究代表者:国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部 飯田 秀博 部長、トゥルク大学 トゥルクPETセンター ユハニ・クヌーティ 教授)
本研究交流は、短寿命の15OとPET装置を用いた全身多組織の組織潅流定量イメージング手法の開発とその臨床応用を目指すものです。
(3)「軽度の認知症を伴う高齢者の生活を安心安全に支える遠隔支援環境の構築」
(研究代表者:奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 加藤 博一 教授、オウル大学 情報処理科学部 プリ・ペトリ 教授)
本研究交流は、ユビキタスコンピューティング技術を用いて、高齢者の屋外移動を支援する案内システムの実現を目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では14件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびフィンランド側の外部専門家により評価しました。JSTとAFおよびTekesはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とフィンランドがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。研究期間は支援開始から3年間を予定しています。