JST(理事長 中村 道治)は、南アフリカ国立研究財団(NRF)注1)と共同で「ライフサイエンス」に関する3件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-南アフリカ研究交流」注3)の一環として行われるものです。支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「結核菌感染における宿主マクロファージ遺伝子の保護的・破壊的作用の解明」
(研究代表者:理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 鈴木 治和 グループディレクター、ケープタウン大学 免疫学部門 フランク・ブロムバッハー 教授)
本研究交流は、免疫細胞の一種であるマクロファージ細胞に結核菌が感染したとき、当該細胞に保護的・破壊的な作用を持つ宿主遺伝子を同定して解析することによって、結核における新たな治療戦略の創出を目指すものです。
(2)「子癇前症(妊娠高血圧腎症)におけるHIV感染の影響」
(研究代表者:福井大学 医学部 此下 忠志 准教授、クワズル・ナタール 大学 臨床医学部 ジャギデジャ・ムードレイ 名誉教授)
本研究交流は、南アフリカ共和国で高頻度に起こる特徴的な高血圧症の一種である子癇前症で、HIV感染ならびに血圧の調節に重要な内分泌経路であるレニン-アンジオテンシン系などの遺伝子多型の及ぼす影響を明らかにすることを目指すものです。
(3)「植物病原細菌Pantoea ananatis の遺伝子型と病原性の多様性に関する研究」
(研究代表者:静岡大学 創造科学技術大学院 瀧川 雄一 教授、プレトリア大学 自然科学・農学部 テレサ・アン・クチノ 教授)
本研究交流は、イネ、トウモロコシなどの重要作物に感染する病原細菌Pantoea ananatis の理解と病害防除に向けて、その遺伝子型と病原性の関係を解明することを目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では14件の応募があり、これらの応募課題を日本側および南アフリカ側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびNRFが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と南アフリカがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。日本側と南アフリカ側とも平成25年5月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。